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フランスの原発依存率引き下げが正式確定 国会で法案成立。現行の75%から2020年には50%へ。削減分は再エネ発電増加でカバー。エネルギー政策を転換(各紙)

2015-07-23 15:53:30

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 各紙の報道によると、フランスの国民議会(下院)は22日、総発電量に占める原子力発電依存度を現行の75%から2025年までに50%に引き下げる法案を可決した。同法案はすでに上院で可決しており、成立が本決まりとなった。

 

 成立した法律は「エンルギー転換法」。原発比率の低下は、フランソワ・オランド大統領の選挙公約の一つ。転換法は二酸化炭素(CO2)排出課税の強化、再生可能エネルギーの活用などを含む包括的なエネルギー政策の転換を盛り込んでいる。

 

 フランスは「原発大国」として有名だが、日本の東京電力福島第一原発事故以来、原発の安全性コストが上昇、原子力産業をリードしてきた原発大手のアレバは経営不振から、コクエイの電力後者(EDF)が救済に乗り出すなどの事態が起きている。次世代を担う予定だった新型原子炉EPR(欧州加圧水型炉)もトラブルとコスト高で、行き詰まり状態にある。

 

 一方で、隣接するドイツを中心に、欧州域内では太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電を重視する国が増加、フランスも原発偏重のエネルギー政策の調整が必要になったといえる。フランスが原発比率を50%に引き下げることで、同国の原発は運転期間が来ると廃炉とし、代わりに再生可能エネルギー発電で代替することになる。2050年の再エネ比率は2012年の2.5倍にまで引き上げ、総発電量に占める比率は約32%になるという。

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 原発比率を大幅に引き下げるフランスだが、それでも発電量の半分が原発である「大国」には変わりはない。ただ今回の法案審議の過程では、当初、50%への引き下げは2050年とする案も出ていたが、一気に、25年での達成に変えた。これは、原発発電の経済性が予想以上に悪化する一方で、再エネ発電の経済性の向上が目覚しいことを反映した現実的な法案修正と受け止められている。

 

 わが国はエネルギー基本計画の見直しで、現在発電量ゼロの原発を2030年には20~22%に回復させる一方、再エネ発電については22~24%にとどめる方針を決めている。発電量の水準はフランスとは異なるものの、日本の「原発推進・再エネ抑制」の政策は、明らかに世界の潮流とは逆の方向を向いているといえる。

 

参考記事  http://financegreenwatch.org/jp/?p=44722