東電福島第一原発に新設した海側遮水壁 設置から1ヶ月で最大20cm、海側に歪む。遮断した地下水の圧力で 舗装面にも500mものひび割れ発生(RIEF)
2015-11-27 12:18:09
東京電力は26日、福島第一原発からの地下水海洋流出防止策として、隣接する港湾部に設置した海側遮水壁の影響で、閉じ込められた水の圧力から表面の舗装面に500mにわたるひび割れが起きたほか、遮水壁自体も海側に最大で20cm傾いた、と発表した。
海側遮水壁は、事故を起こした原発1-4号機の敷地から流れ出す地下水が港湾内に流れ込むのを防ぐため、10月26日に完成した。長さ30mの鋼管矢板594本を使用し、全長約780mにわたって港湾部をカバーしている。東電は「これによって、万一、汚染水の漏洩事故が生じても、海洋に流出するリスクが大幅に低減できる」と期待をかけていた。
ところが、地下水の流れをせき止める形となったため、流出口を失った水圧の影響で、旧護岸と鋼管矢板の間の埋め立てエリアの地下水位が約1.5m上昇、その影響で埋め立てエリア上部の舗装面に500mにわたって最大幅1cmのひび割れが発生した。また、矢板自体も海側に押し出された格好で歪んだしまったという。
東電は矢板の傾きは、当初から想定していたとしているが、1ヶ月という短期間に目に見えるほどの歪みが生じたことから、矢板への負荷を低減するため別の鋼材で鋼管を結合する作業を行っている。歪みは最大で約20cm。鋼管の素材の特性で、遮水効果への影響はないと説明している。
舗装面のひび割れ部分については、ポリウレアを吹き付けて塞いだ。東電は現時点では、補修で対処できるとみているようだが、地下水の自然の流れを遮る作業が、完成後1ヶ月で修復が必要なほどのゆがみや亀裂を生じたことを軽視していいのだろうか。
水圧の原因となる地下水自体の流れを変えるか、地下水の放射能汚染を完全に封じるか、のどちらかの手を打たないと、海洋汚染のリスクを長期間にわたって封じ込めることは難しいのではないか。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2015/images/handouts_151126_06-j.pdf