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三井住友海上火災保険。衣料品の製造・販売過程で火災・水災等で生じた損害品をリサイクル等に循環させる「燃やさない保険」開発。豊田通商と連携。サーキュラーエコノミー促進(RIEF)

2023-09-28 15:37:19

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 三井住友海上火災保険は28日、衣料品等を取り扱うアパレル業界向けに、取り扱い衣料品に損害等が生じた際に、これまでは焼却等で処分していたのを、リサイクル等に循環させるサーキュラーエコノミー化を促進するため、事業者に生じる追加負担を補償する「サーキュラーエコノミー特約」を、 豊田通商と共同開発した。「燃やさない保険(衣料品循環費用補償特約)」として、10月から販売開始する。サーキュラーエコノミーを促進する保険商品の開発は、国内では同社が初めて。

 

 アパレル業界では、アパレル業界では、大量廃棄(アパレルロス)等、環境負荷の高い産業構造が社会問題となっている。日本だけで年間約30億着の衣服が製造されるが、その半分の約15億着は廃棄されるという。その中には、製造・流通過程における火災や水濡れ等により損害が生じた新品製品も含まれる。これらを総称した「アパレルロス」が各国で社会問題化している。

 

 衣料品を焼却処分すると、CO2の発生源となるほか、膨大な資源のムダを生み出すことにもなる。三井住友海上では、製造・流通過程で生じた損害分の焼却処分を止めて、リサイクル、アップサイクル(再生し価値を高めて循環させること)化を促進するために、焼却の代わりにリサイクル化することで、事業者に生じる追加費用等を、保険でカバーする仕組みを開発した。

 

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 新保険の対象は、衣料品製造メーカーや販売店等とする。製造・流通過程における火災や水濡れ等により衣料品に損害が生じた際に焼却処分をせず、リサイクル、アップサイクル化として衣料品を循環させるために要する追加費用を補償する。火災や水濡れ等にあった商品のリサイクル化等には商品包装の入れ替えや、一定の追加作業が必要になるが、そうした費用をカバーするのが狙いだ。

 

 両社の役割は、三井住友海上は、衣料品事業者が焼却廃棄する代わりに循環させるために必要になる追加費用等を補償する保険を提供する。豊田通商は、損害が出た衣料品を、再度、繊維原料することでリサイクル、あるいはアップサイクルすることで付加価値を高めて、再循環化を促す。

 

 サーキュラーエコノミーでは、①製品の設計段階から廃棄物や汚染を発生させないようにする②製品を使用した後も循環させて使い続ける③資源を有効利用して自然のシステムを再生させる等が求められる。

 

 似た取り組みとして3R(リデュース、リユース、リサイクル)がこれまでも提唱されてきた。ただ、3Rの場合、「廃棄物をできるだけ出さない」「使用済み製品を資源として有効利用する」ことを目標とするが、廃棄物は出る前提だ。これに対して、サーキュラーエコノミーの場合は、製品の設計段階から廃棄物が発生しない前提で資源を循環させることを意味する。

 サーキュラーエコノミーを実現する手法として、保険機能を活用することは、今回が初めてで、衣料品業界と、損害の出た衣料品を循環させるためのリサイクル・アップサイクル化を担う事業者とを、保険会社がつなぐ形となる。

 

https://www.ms-ins.com/news/fy2023/pdf/0928_1.pdf