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ユーグレナ、航空機用のバイオジェット燃料を完成。年内にも初フライト実現を目指す。国際認証ASTM取得のバイオジェット燃料の実用化は世界初(RIEF)

2021-03-15 17:48:52

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 ユーグレナ(東京)は15日、ミドリムシ由来のバイオジェット燃料を完成したと発表した。バイオディーゼル燃料は昨年4月から供給しており、バイオジェット燃料も供給開始の目途が立ったことから、年内のフライト実現に向け、航空運送事業者や航空局等との最終調整を進めるとしている。同社の製造プラントは、国際認証機関ASTMの認証を受けており、認証付きバイオジェット燃料の実用化は世界でも初という。

 

 (写真は、横浜・鶴見にあるユーグレナの実証プラント)

 

 バイオジェット燃料の開発は、ユーグレナと、米国のChevron Lummus Global, LLC(CLG)、Applied Research Associates, Inc.(ARA)の間で共同開発を進めてきた。2018年10月に横浜市鶴見区の京浜臨海部に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを設置、今回、同所で開発に成功したとしている。https://rief-jp.org/ct4/98790

 

 今回完成したバイオジェット燃料は、原料に微細藻類ユーグレナ由来の油脂と使用済み食用油等を使用した。製造した燃料は、外部検査機関によるASTM D7566 Annex6規格への適合検査を実施、合格したとしている。ユーグレナ社のバイオ燃料製造実証プラントは、CLG社とARA社が共同で開発したバイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術(BICプロセス)を採用している。

 

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  ユーグレナは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実証事業を通じ、インドネシアで燃料となる藻の大量培養を進めている。一方、2025年には現行の横浜プラントの2000倍の生産能力をもつ商用プラントを建設する予定だ。これによって、原料調達から燃料販売先までの供給網を構築できるとしている。

 

 航空機の運航に伴うCO2排出量は、世界全体のCO2排出量の約2%を占めるとされる。ただ、これまでの温暖化対策の国際的な枠組みである京都議定書やパリ協定では対象になっていなかった。しかし、2016年に国際民間航空機関(ICAO)は、国際線の航空機を対象として、CO2を含む温室効果ガス排出量を2020年を基準とし、21年以降の増加分は排出クレジットの購入等を各国の航空会社に義務づける制度で合意している。

 

 各国の航空会社や航空機メーカー、ベンチャー企業等が航空機からのCO2削減の技術開発を競っている。バイオジェット燃料もミドリムシだけでなく、サトウキビなどを原料にした複数の燃料がASTM規格を取得しているほか、電気飛行機や水素燃料機等が試行されている。バイオジェット燃料は現行の航空機のエンジンをそのままにしてCO2フリーの運航が可能になるメリットがある。

https://www.euglena.jp/news/20210315/