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トヨタ自動車、「水素エンジン車」を開発、耐久レースに投入。通常のエンジンで水素を燃料として活用。走行時のCO2排出ゼロ。既存のサプライチェーンの製造技術を活用(RIEF)

2021-04-23 16:49:22

 

 トヨタ自動車は、通常の内燃機関エンジンを一部改良し、ガソリンの代わりに水素燃料で駆動させる「水素エンジン車」を搭載したスポーツカーを5月に日本で開催する耐久レースに登場させる。同車は水素から電気を発生させる燃料電池車(FCV)とは異なり、水素をガソリンのように燃料として使ってエンジンを駆動させる。走行時のCO2排出ゼロとなるのと、車本来の操作性も高いとされる。

 

 トヨタはFCVの「MIRAI」等を開発している。FCVは、水素を空気中の酸素と反応させて電気を起こし、モーターを駆動する方式。これに対して、水素エンジン車は、通常のガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更し、燃料としてガソリンの代わりに水素を燃焼させて動力を発生させる仕組み。ガソリンエンジンでも発生するごく微量のエンジンオイル燃焼分を除き、走行時にCO2は発生しない。

 

水素エンジンを搭載してレースに登場するカローラスポーツ
水素エンジンを搭載してレースに登場するカローラスポーツ

 

 水素エンジンの開発はこれまでも、独BMWが2000年代中頃に、同エンジンを搭載した7シリーズ「ハイドロジェン7」を開発したほか、マツダも同時期に水素ロータリーエンジンの実用化を目指した。しかし、技術面やコスト等の課題を克服できず、商品化には至っていない。

 

 今回、トヨタはカローラ スポーツをベースとした競技車両に、昨年9月に販売を開始したGRヤリスなどの技術も活かして水素エンジンを搭載する。そして5月21日から23日に行われるスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦NAPAC富士SUPER TEC 24時間レースに、「ORC ROOKIE Racing」の参戦車両として投入する。

 

 水素を燃焼する際の安全性についてはFCVの開発等で高めた技術を応用できるとしている。水素エンジン車のメリットは、CO2排出量がゼロである点のほか、エンジン車なので既存の部品等を活用でき、トヨタのサプライチェーン技術を維持できる。同社は「モータースポーツの厳しい環境で水素エンジンを鍛えていくことで、サスティナブルで豊かなモビリティ社会を実現すべく、貢献していく」とコメントしている。

 

  気候変動対策で焦点となっている自動車のCO2対策では、現在、電気自動車(EV)化が主流とみなされている。ただ、EVの場合も電池製造に伴うCO2排出量や充電する電気の製造時の排出量等、ライフサイクル全体でのCO2フリーの確保が課題になっている。FCVは小型化とコスト削減が課題だ。水素エンジン車のように、燃料をCO2フリーにする技術としては、バイオ燃料も選択肢に入る。

https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/35209944.html