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グーグル親会社のアルファベット、過去最大の57億5000万㌦のサステナビリティボンドのインパクトレポート公表。1年で8分野に6割配分、インパクトを定量化。CO2は約1500万㌧削減(RIEF)

2021-08-19 22:58:02

Alphabet001キャプチャ

 

 グーグルの親会社である米アルファベットは昨年8月、民間企業最大規模のサステナビリティボンド57億5000万㌦(約6000億円)を発行したが、そのインパクトレポートを公表した。それによると、この1年間で、調達した資金の約6割に相当する34億7000万㌦を8事業分野に投じた。ほぼ半分はクリーンエネルギー事業に配分し、約1490万㌧のCO2排出量を削減したほか、新型コロナウイルス対策や人種差別対策等に支出した。

 

 アルファベットが発行したサステナビリティボンドは、期間5年債(10億㌦)、10年債(22億5000万㌦)、30年債(25億㌦)の3本。インパクトレポートでは、債券ごとに、8つの資金使途先に配分した金額と、そのインパクトについて定量的なデータで示している。日本ではサステナビリティボンドだけでなく、グリーンボンドでも発行後のインパクトレポートを一般に公表しないケースが少なくないが、同社の対応は一つのモデルといえよう。http://rief-jp.org/ct6/105377

 

  資金使途先の分野は、 ①エネルギー効率化(省エネ)②クリーンエネルギー(再エネ)③グリーンビルディング④クリーン輸送⑤サーキュラーエコノミー・デザイン⑥低所得者向けの手ごろな住宅(アフォーダブル住宅)⑦人種平等へのコミットメント⑧中小企業支援とコロナ危機対応の支援ーーの8分野。

 

 最も資金使途額が多かったのは、クリーンエネルギー(12億7400万㌦)とグリーンビルディング(12億4600万㌦)。グーグルは世界最大の再エネ電力の購入企業として知られる。サステナビリティボンドでの調達資金で、同社が設定したクライテリアに基づいて、グローバルに42件、合計4.4GWの再エネ調達契約を結んだ。これらの再エネ電力によって年間1490万㌧のCO2を削減できた。

 

 次いで資金配分の多いグリーンビルディングについては、本社のあるカリフォルニア州から、世界60カ国の180以上の拠点のオフィスのグリーン化に投じられている。グーグルのオフィスは2020年末時点で150万㎡以上が環境評価のLEED認証を得ており、そのうち27%はLEEDでももっとも評価の高いプラチナ認証となっている。今回の調達資金で投じたら得た7つの物件(合計41万5000㎡)はいずれもLEEDプラチナ認証を得る予定。

 

 人種平等へのコミットメントとしては、「Black Lives Matter(黒人の命も大事)」で焦点となった人種差別問題対策として、8100万㌦を配分した。資金は黒人コミュニティでの雇用等の経営機会を高めるための6つのイニシアティブに投じられた。この中には、黒人コミュニティの中小企業を支援する地域開発金融機関(CDFIs)に対する4500万㌦のファイナンスも含まれる。

 

 コロナ禍で苦境に立つ中小・零細企業向け資金供給として1億2500万㌦を投じた。これらのコロナ支援資金は、米国内ではCDFIsのネットワークであるOFN、中南米では米州開発銀行等と連携して、合計13500件のローンを供給した。

 

 調達資金のうち、未配分の22億2000万㌦(約39%)は今後、環境・社会分野の事業に順次充当していく。同社では調達資金がすべて配分されるまで、毎年、インパクトレポートを公表するとしている。

 

分野ごとのインパクトの評価
分野ごとのインパクトの評価

 

https://www.gstatic.com/gumdrop/sustainability/alphabet-2021-sustainability-bond-impact-report.pdf