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伊藤忠、奄美大島で生物多様性保全と、マングローブ植林によるCO2吸収力を生かした「カーボンクレジット」創出を目指す植林プロジェクトを開始(RIEF)

2021-08-19 13:35:49

Itochu001キャプチャ

 

 伊藤忠商事は18日、世界自然遺産に登録された鹿児島県・奄美大島で、マングローブ植林事業を展開する。同地での生物多様性保全に寄与する社会貢献活動としての位置づけとともに、マングローブによるCO2吸収力を活用したカーボンクレジット創出も目指す。

 

 同社は地元の宇検村(うけんそん)とマングローブ植林の取り組みを開始することで合意した。奄美大島は、今年7月のユネスコ世界遺産委員会で、島全体が沖縄北部、徳之島等とともに、世界自然遺産に登録された。

 

 同島の西岸に位置する宇検村は、豊かな自然を守る活動の一環として、地元の子供たちが育てたメヒルギの苗を使ったマングローブ林の植林活動を実施している。メヒルギは日本では鹿児島県と沖縄県に自然分布するマングローブ林を形成する植物の一種。メヒルギによるマングローブ林の再生や保全は、奄美大島の自然環境や、伊藤忠はこうした活動を支援する。

 

 同時に、マングローブ林の再生・保全活動によって、マングローブが持つCO2吸収源としての役割を生かすことを目指す。マングローブは、濃密に発達した細根が常に伸長と枯死を繰り返して、枯れ落ちた枝葉が泥炭として蓄積することで、土壌中に高密度の炭素を隔離するため、単位面積あたりのCO₂吸収量が、海藻や干潟等の「ブルーカーボン」の中でも多いことで知られる。

 

「ブルーカーボン」の吸収係数 (t-CO2/ha/年)
「ブルーカーボン」の吸収係数 (t-CO2/ha/年)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kaigan/75/1/75_10/_article/-char/ja/

 

 伊藤忠と宇検村は、同プロジェクトによって吸収されるCO₂を、国土交通大臣認可法人の「ジャパンブルーエコノミー技術研究組合」が発行する「Jブルークレジット」として、日本初のマングローブ由来のクレジット認証を受けることを目指すとしている。日本政府も「2050年ネットゼロ」目標を示したことで、今後、産業界でクレジット需要が高まるとみられている。

 

 伊藤忠は中期経営計画「Brand-new Deal 2023」の基本方針として、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献・取組強化を掲げている。今回の取組はそれらに寄与するとともに、脱炭素社会への移行に伴う移行ビジネスとして成長する期待がある。

 

https://www.itochu.co.jp/ja/csr/news/2021/210818_1.html