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北陸電力と北海道電力、いずれも初となるグリーンボンド発行へ。12月中。それぞれ100億円、50億円。資金使途は再エネ事業だが、石炭火力・原発再稼働の推進姿勢は変わらず(RIEF)

2021-10-29 01:21:38

北電キャプチャ

 

 北陸電力と北海道電力は28日、それぞれ初となるグリーンボンドを12月中に発行すると発表した。発行額は北陸電が100億円、北海道電が50億円。ともに調達資金は再生可能エネルギー発電事業に充当するとしている。ただ、両社とも2030年に向けても石炭火力発電を維持し、原発も再稼働の方針だけに、投資家にとっては「グリーン」の色合いが気になる形だ。

 

 (写真は、グリーンボンド発行で記者会見する北海道電力の藤井裕社長)

 

 北陸電力によると、同社が発行を予定する100億円のグリーンボンドは期間10年。調達した資金は、再エネ発電・施設及び関連施設の建設・設置等に充当する。主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券が担当する。グリーン性の外部評価は、DNVビジネス・アシュアランス・ジャパンと格付投資情報センター(R&I)の両社が付与した。

 

 一方の北海道電力も12月に発行すると発表した。発行額50億円で、期間10年。資金使途は再エネ発電の開発や整備などに限定するとしている。主幹事はみずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券。グリーン性評価は北陸電力と同じDNVとR&I。

 

 北陸電は2030年までに再エネ発電量を2018年度対比で20億 kWh 増加(再エネ率3割)に高めると同時に石炭消費量10%削減等の目標を立てている。 カーボンニュートラル・ロードマップでは、2030年までに非化石電源比率50%以上、2050年カーボンニュートラルに挑戦するとしている。

 

 再エネ目標達成のため、石炭火力発電のバイオマス混焼を15億 kWh、水力を1.4億 kWh等とする。グリーンボンドの調達資金は再エネに絞り込むものの、石炭火力発電は30年以降も続ける方針だ。また志賀原発の再稼働も目指していくとしている。

 

 一方の北海道電は、環境目標として、2030年までに太陽光発電などの再エネ発電を30万kW以上開発する方針を示している。今回のグリーンボンドでの調達資金はこれらに充当されることになる。その一方で同年度までの経営目標として、火力発電が電力供給の主力と位置付け、泊原発の全基再稼働を掲げている。


 グリーンボンドは資金使途がグリーン事業に投じられるならば、市場から「グリーン」と評価される。ただ、企業として別途、環境負荷の大きな事業や、電力会社の様に火力発電所等を抱えている場合は、事業評価に加えて、それらの資産が「座礁資産化」しないかどうかの見極めや、発行体自身の評価も求められる。今回の両社への外部評価には、そうした視点はないようだ。

 

 電力会社のグリーンボンド発行は、すでに東北、中部、九州、東京(東京電力リニューアブルパワー)の各電力が発行している。北陸、北海道の2社の発行で、過半の既存電力が「グリーン」を投資家にアピールする形でもある。https://rief-jp.org/ct4/117617?ctid=72

https://www.rikuden.co.jp/press/attach/21102804.pdf

https://www.hepco.co.jp/info/2021/1251392_1895.html