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NTT、グループ全体で「インターナル・カーボン・プライシング(ICP)制度」を導入へ。2030年度までのCO2排出量80%削減を促進へ。炭素価格はトン当たり6500円に設定(RIEF)

2022-05-09 17:31:28

NTTスクリーンショット 2022-05-09 172647

 

 NTTは6日、カーボンニュートラル実現に向け、グループ全体でのCO2削減を促進するため、「インターナルカーボンプライシング制度(ICP)」を導入すると発表した。ICPの価格はトン当たり6500円に設定した。脱炭素関連の事業判断や、製品等を調達する際等の意思決定において、同制度に基づきCO2排出コストを考慮することで、グループ全体のCO2排出量削減を促進することを目指す。

 

 NTTは2021年9月28日に策定した新環境エネルギービジョン「NTT Green Innovation toward 2040」において、2030年度までに温室効果ガス(GHG)排出量を80%削減(モバイル、データセンターはカーボンニュートラル)、2040年度までにグループ全体でのカーボンニュートラル実現の目標を立てている。

 

 ICPの導入は、こうしたGHG削減の目標達成を、削減コストを考慮したうえで、促進するためのものだ。社内での意思決定や資材等の調達等に際して、CO2排出量を仮想的にコスト換算することで、合理的なGHG削減を推進する考えだ。

 

 設定するICPの炭素価格は、内外の市場動向や削減技術動向を考慮し、トン当たりCO2換算6500円と設定した。現在、カーボンクレジットの主要市場であるEU-ETS(排出権取引制度)では、クレジット(EUA)の価格はトン当たり90ユーロ(約12330円)台となっており、そのほぼ半分の価格。

 

 企業が自らの判断でICP制度を導入する事例は、すでに世界全体で2000社以上に及んでいるとされる。国内でも、日立製作所、帝人、住友大阪セメント、アステラス製薬、ジーエス・ユアサコーポレーション等が導入している。またJR東日本や、同貨物、ライオン等も導入を予定している。

 

 主要各社のICP価格は5000円~8000円前後が多く、NTTグループの6500円はほぼ平均的といえる。このうちアステラス製薬はトン当たり10万円という高額であるほか、日立も14000円と、NTTの倍以上に設定している。ICPは企業が自主的に設定するもので、各社の温暖化対策への力の入れ方によって、自社判断で設定できる。

 

 現在、日本政府はEUのように排出権取引を導入していない。このため個々の企業は、排出規制を受けているわけではないが、仮に将来、義務的な排出規制が導入される場合、自社でICPを設定していると、迅速な対応を取り易くなる。また、規制が導入されなくとも、ICPを設定している場合、投資家に対してESG取り組みをアピールできる等のメリットも指摘される。

https://group.ntt/jp/newsrelease/2022/05/06/220506a.html