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今年の日本の上場企業(日経225銘柄)へのESG関連の株主提案63件。対象企業9社。ESG課題中、ガバナンス関連の提案が最多。環境NGO提案は6件。多様化するESGアクティビズム(RIEF)

2022-09-14 15:13:47

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 わが国の上場企業のうち日経225銘柄の主要企業に対する株主提案が、今年は9社に対して、合計63件が提出されたことがわかった。ESGアクティビズムを調査・分析する「Proxy Watcher」が公表した。個人投資家や自治体、非営利団体等が主な提案者だ。中には、40%を超える株主の支持を得た提案もあった。

 

 公表されたのは「ESG Activism Japan 2022」と題するレポート。Proxy Watcherは、ESGアクティビズムの企業社会、日本社会に及ぼすインパクトを調査・分析している。

 

 それによると、9社、63件の株主提案のうち、提案内容がESGのどの分野に属するかをみると、E(環境)関連の提案は13件、S(社会)関連は18件、G(ガバナンス)関連が32件と、G課題が最も多かった。このうち、EとSの両方に関連する提案は12件、SかつGの提案は6件。提案を受けた9社の企業は、公共性の高い電力会社が多く、関西電力は1社だけで26件の株主提案を提出された。

 

 いずれの提案も可決には至らなかった。その中で、三井金属への「取締役・執行役の報酬・賞与その他の職務上の対価は個別開示することを義務付ける」という提案(株式会社ヒデショウ)には、43.51%の賛成票が集まった。シチズン時計への「取締役報酬は原則として個別開示規定を設ける」との提案(個人株主)にも、38.80%と比較的高い賛成票を得た。

 

 環境関係では、三菱商事に対して、豪環境NGOのマーケットフォースと、国内NGOの気候ネットワーク(KIKO)、FoEJapan Japan所属の個人株主が「パリ協定と整合する温室効果ガス削減目標を含む事業計画の策定開示」等の2つの提案を提出。それぞれ、20.19%、16.22%の支持を得た。三井住友フィナンシャルグループに対しても、同じくマーケットフォース、KIKOに加え、350.org Japanおよびレインフォレストアクションネットワーク(RAN)所属の個人株主が同様の2つの提案を行い、それぞれ27.05%、9.55%の支持を得た。

 

 これ以外に、日本最大のCO2排出企業であるJERAの株主である東京電力ホールディングスと、中部電力に対しても環境NGOによる提案があり、それぞれ9.55%、19.9%の支持を得た。

 

 株主提案に対して、比較的高い支持率が増えているのは、機関投資家や、議決権行使助言会社等が、会社側提案だけでなく、株主提案についても、提案内容に応じた判断をするようになってきたことを示しているともいえる。

 

 Proxy Watcherの代表、松木耕氏は「株主提案の提出を通じて企業に問題提起を行い、働きかけるESGアクティビズムは活性化の一途だ。ESGアクティビストの背景も多様。アクティビストファンド、独立系ESGファンド、株主擁護団体、環境NGO、人権NGO、個人投資家等が『ステークホルダー資本主義』における企業のあり方について声を上げている」と指摘している。

https://proxywatcher.jp/ja/reports/