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新電力の自然電力(福岡市)、カナダの年金大手CDPQから、総額700億円の資金調達。役員も受け入れ。国内外で再エネ事業の新規開発拡大へ(RIEF)

2022-10-24 18:30:14

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    新電力の自然電力(福岡市)は24日、カナダの年金大手ケベック州貯蓄投資公庫(Caisse de dépôt et placement du Québec:CDPQ)から、出資や投資の形で総額700億円の資本供給を受けると発表した。自然電力は日本国内だけでなく、東南アジアでも再エネ開発事業を展開しており、調達資金によって内外市場での事業拡大を図る。CDPQからは取締役1人も受け入れる。

 

 (写真は、㊧から3人目がCDPQのジャクロ氏)

 

 自然電力は2011年の設立。これまでに国内外で、太陽光発電等による100万kW超の開発実績を持つ。国内では電力小売り事業も展開していたが、今月初め、電力卸売市場価格の高騰が続く環境から、同事業からの撤退を表明し、開発事業へのシフトを宣言していた。https://rief-jp.org/ct10/129010?ctid=72

 

 CPDQからの資本受け入れは、二段階に分かれる。まず、自然資本が発行する転換社債型新株予約権付社債200億円をCDPQが全額引き受ける形をとる。また、自然電力が内外で展開する再エネ開発事業向けの投資枠として500億円を設定し、そこにもCPDQが出資する。

 

 自然電力は、今年2月にJICベンチャー・グロース・インベストメンツ、シグマクシス・インベストメントから総額44億円の出資を受けている。これらも再エネ事業拡大資金であり、合計すると今年度中に744億円の新規資金を調達したことになる。

 

 自然電力は「CDPQ等の出資により、わが社は再エネ発電のさらなる開発、エネルギーテックに関する事業強化、さらに人的資本形成を加速させることが可能になる」とし、事業展開のスケールアップを展望している。

 

 具体的な事業展開としては、国内では従来から取り組んでいる、地上・屋根設置型太陽光発電、営農型太陽光発電、陸上・洋上風力発電、小水力発電、バイオマス発電などの再エネ電源の開発を引き続き進めるほか、これらの再エネ電力を有効活用するため、自社開発のエネルギーマネジメントシステムをさらに発展させる。

 

 東南アジアやブラジルなど海外では、グローバル企業や現地企業向けのオンサイト・オフサイトPPAを加速させる。また現地有力企業との提携により、大規模な太陽光・風力発電プロジェクトにも取り組む予定としている。

 

 CDPQはカナダの約800万人分の年金資金を運用しており、運用規模は4200億カナダ㌦(約45兆円)。株、債券等の金融商品投資だけでなく、企業や事業への直接投資もグローバルに展開している。エネルギー分野では、脱炭素への転換で、原油生産に関わる企業等への投資を引き揚げ(ダイベスト)、再エネ等の脱炭素関連投資に切り替えている。2025年までに540億カナダ㌦を再エネ関連に投資する計画を立てている。

 

 CDPQ のエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント兼インフラ事業責任者であるエマニュエル・ジャクロ氏は「今回の日本への投資は、CDPQ のアジア太平洋地域での長期インフラ戦略展開における重要なマイルストーンだ。日本はアジアの脱炭素化に向けて重要な役割を担っている。再エネ分野で豊富な経験を持つ投資家として、自然電力チームと協力してその野心的な計画を実現し、エネルギー転換に積極的に貢献できることをうれしく思っている」としている。

 

 自然電力の磯野謙、長谷川雅也、川戸健司の各代表取締役は「自然電力は『青い地球を未来につなぐ』を存在意義に掲げて邁進してきたが、温暖化およびエネルギー問題の解決には更なるスピード感が求められていると感じる。今年度、新たに契約を締結したCDPQ、JIC VGI、シグマクシス・インベストメントとの協業を通じて、地球の未来に向けた世界規模のアクションを加速させたい」と共同コメントを発表した。

https://www.shizenenergy.net/2022/10/24/se_4-party_capitalincrease/