HOME4.市場・運用 |野村アセットマネジメント。上場企業のESGスコア評価に、温室効果ガス削減貢献量等を金銭評価する仕組みを導入。削減貢献量の「見える化」で企業の脱炭素化・低炭素化を促す(RIEF) |

野村アセットマネジメント。上場企業のESGスコア評価に、温室効果ガス削減貢献量等を金銭評価する仕組みを導入。削減貢献量の「見える化」で企業の脱炭素化・低炭素化を促す(RIEF)

2023-03-01 00:18:07

nomuraAMキャプチャ

 野村アセットマネジメントは28日、約400社の上場企業を対象に実施している自社のESGスコアの評価対象に、企業による温室効果ガス(GHG)の削減貢献量・除去量を加え、定量評価できる取り組みを開始すると発表した。企業が製品やサービスを通じて削減したCO2削減貢献量等に、内部炭素価格を乗じて算出した経済的価値の営業利益に対する比率で「気候貢献」を計測する。比率の大きい企業ほど、気候機会を合理的に実践していると評価できる。同社では国内の資産運用会社で削減貢献量等を気候関連機会の評価に加えるのは初めてとしている。

 同社によると、企業が取り組むGHG排出量の削減貢献量等は企業の売上高等と正の相関がある。このため同貢献量は、排出量の削減と同時に、企業価値の向上につながる気候関連機会を評価する最適な指標の一つといえるとしている。実際、企業の中にも、削減貢献量等を開示するところが増えている。

 今回の取り組みは、この削減貢献量を定量化し、ESGスコアで、一定の評価尺度とするものだ。同社は約400社の上場企業の日本株評価に際して、約100項目の企業の非財務情報を調査・分析した独自の「ESGスコア」を開発している。今回、このESG評価の指標の一つに、内部炭素価格を使って、削減貢献量を定量評価する手法を盛り込む。

 企業の削減貢献量等の算定には、企業が従来よりもGHG排出量を抑制する製品やサービスを販売した際、従来品を同数、販売した場合に比べて、抑制できる排出量を推計して、算出する。例えば、従来から知られている手法は省エネ家電等の節電量だが、このほか、デジタルサービスを導入することで人流や物流が抑制された分で生じる排出削減効果も数値化できる。除去量は企業が所有する森林等による大気中のCO2吸収量を評価できる。

 これらの貢献量等の数値データに内部炭素価格を乗じることで、当該企業の貢献度を金額換算する。そのうえで同貢献金額を、当該企業の営業利益で割ることで、貢献度の営業利益比率を算定する。その比率が高い企業ほど、CO2削減貢献の取り組みが収益にも貢献していると評価できることになる。

 対象となる約400社のうち、現在、削減貢献量等を開示しているのは約2割。現在のところ、削減貢献量での国際的な算定ルールはないうえに、各企業の開示内容や手法にはばらつきが大きい。このため野村アセットでは、企業評価に反映する削減貢献量のスコアへの反映は、各企業のサプライチェーンを含めた総排出量の2割を上限とするとしている。

 同社では、今回改定した削減貢献量の定量評価手法を用いることで、ネットゼロの実現に向けた投資対象企業の取り組みを後押しできるとしている。また、企業と投資家の対話(エンゲージメント)の促進にも役立てたいとしている。

 同社では毎年、自社のSGスコア評価の見直しを行っている。昨年は、GHG排出量を評価する項目にGHG吸収量を新たに反映させている。

https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/etc/20230228/nam20230228.html