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港湾に停泊中の船舶からのCO2排出削減で、陸上から再エネ電力を船舶に供給する「船陸給電」システムを企業連合が共同開発・普及へ協議会設立。25年度に試作稼働目指す(RIEF)

2023-07-20 23:33:24

Port 002キャプチャ

 

 先に国連の「国際海事機関(IMO)」が国際海運からの温室効果ガス(GHG)排出削減目標で合意するなど、海運分野の脱炭素化が動き出す中で、船舶の脱炭素化に加え、船舶の基地となる港湾での排出削減を全国で展開する協議会がわが国で立ち上がった。三菱造船など7社・組織が取り組む。現状、船舶で使う電力は港湾に停泊中に船上のディーゼル発電機で発電するが、CO2排出量の増大に加え、騒音や大気汚染物質を多く排出する課題がある。そこで、電気推進船などに陸上から電力を供給する「船陸給電」システムの普及を目指す。

 

 設立されたのは「船舶向けゼロエミチャージャー普及推進協議会(仮称)」。三菱造船のほか、船の電動化などを進めるe5ラボ(東京)、マリンドウズ(同)、e-Mobility Power(イーモビリティパワー、同)、CHAdeMO(チャデモ)協議会(同)、日本船舶技術研究協会(同)、日本政策投資銀行が参加している。https://rief-jp.org/ct8/137148?ctid=70

 

 協議会では、港湾での船舶への給電システムの軸になる船舶向け標準汎用型ゼロエミチャージャーシステムを開発し、同システムを企業の垣根を超えた標準規格とすることを目指す。システムは、①陸上側給電ステーション(標準化されたチャージャーおよび課金システム)②船舶側受電モジュール(標準化・モジュール化されたハードウェア、ソフトウェア)③船陸間大容量通信(標準化された港湾内大容量通信システム)から構成される。

 

 陸上から停泊中の船舶に供給する電力は、太陽光発電等の再エネ電力とする。給電された電力は、電気推進船の推進力や、船内で使う電力などに使う。第1期として2025年度までに、国内外の貨物と船舶が集中する国際戦略港湾である阪神港・京浜港に、船舶向け標準汎用型ゼロエミチャージャーのプロトタイプを設置する。

 

 その後、全国の港湾、漁港、マリーナ、さらには海外へと普及を広げていく計画だ。同時に、開発したシステム規格を標準化して汎用性を高めるとしている。協議会には、神戸市と横浜市の両港湾局もオブザーバー参加する。

 

 港湾からのCO2排出量の約4割は、停泊中の船舶のディーゼル発電機から排出される。環境への影響はCO2以外にも、騒音、振動、PM、NOx、SOx等の大気汚染物質等が同時に排出されることで周辺環境に多大な影響を及ぼしている。これを陸上給電インフラ整備によって停泊中の船舶に供給する「船陸給電」化することで、有害物質の排出を食い止め、地球環境の改善につなげることができると期待している。

https://www.mhi.com/jp/news/23072001.html

https://www.mhi.com/jp/news/pdf/230718.pdf