HOME |社会貢献債:広がる 個人投資家に人気 貧困支援や環境保護目的(毎日) |

社会貢献債:広がる 個人投資家に人気 貧困支援や環境保護目的(毎日)

2013-08-27 10:35:26

wakuchinsaiキャプチャ
wakuchinsaiキャプチャ発展途上国の支援や地球温暖化対策などを目的に投資家から資金を集める「社会貢献債」と呼ばれる債券が、国内で普及してきた。今年の発行額は既に1000億円を突破し、過去2年の年間発行額に迫る。利回りが比較的高いうえ「投資を通じて社会貢献できる」という商品特性が、個人投資家に受け入れられつつあるようだ。【山口知】

社会貢献債は、世界銀行やアジア開発銀行などの金融機関(発行体)が、貧困対策や環境保護などの目的で資金を集めるために発行する。これらの金融機関は、集めた資金を企業や途上国の政府、金融機関などに投融資し、債券を買った投資家には年2回利息を支払い、満期時には元本を払い戻す。融資先企業などが債務不履行(デフォルト)になる可能性もあるが、発行体が責任を持って投資家に返済する仕組みで、これまでに債券がデフォルトとなったケースはないという。

オランダの金融大手ラボバンクは今年、途上国の農業支援を目的にした「アグリ・ボンド」を、計2回396億円分発行した。ラボバンクは、コートジボワールのココア生産者に対し、土壌改良や品質改善を図るための融資を行った実績がある。予防接種推進を掲げる「ワクチン債」は、途上国の子どもにワクチンを提供することを目的に設立された国際機関が今年3月、129億円分発行。予防接種事業は利益を生まないが、英国やフランス政府などからの寄付で元本と利息が賄われる。

社会貢献債は、2008年から個人投資家を対象に販売され、最低100万円前後から購入できる。今年の発行額はこれまでに1041億円で、11年(1078億円)、12年(1169億円)に迫る。これまで国内で発行された社会貢献債の約65%に当たる約5000億円分を販売した大和証券債券営業部の池上紗矢香氏は「購入層は中高年が中心だが、若年層にも広げられれば」と話す。

社会貢献債に多い外貨建ての債券は購入時よりも円高が進むと、円ベースでは元本割れする可能性もある。特に新興国通貨は下落基調にあるが「中長期的には、新興国の経済力が強まり、円安になると見込む投資家が多い」(池上氏)ことも普及を支えているようだ。

 

http://mainichi.jp/select/news/20130827ddm008020035000c.html