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米SASB(サステナブル会計基準審議会) 再生可能資源・代替エネルギー分野のESG開示基準を公表(RIEF)

2016-01-06 17:44:34

SASB1キャプチャ

 米国でESG情報の財務報告書での開示ガイダンスを開発している非営利団体サステナブル会計基準機構(Sustainablity Accounting Standards Board:SASB)は、再生可能資源・代替エネルギー分野6業種の基準をまとめ、公表した。

 

 SASBは今回の再生可能資源・代替エネルギー分野を含めて、すでに9分野について、各産業分野で評価すべき重要度の高いESG(環境・社会・ガバナンス)情報の特定と、開示の方法等を例示した基準をまとめ、公開している。残るのはインフラ分野のみとなっている。インフラ分野は今四半期中の基準作成を目指している。

 

 今回公表されたのは、バイオ燃料、森林・伐採事業、燃料電池・産業用蓄電池、紙パルプ製品、太陽エネルギー、風力エネルギーの6業種。

 

  • Biofuels
  • Forestry & Logging
  • Fuel Cells & Industrial Batteries
  • Paper & Pulp Products
  • Solar Energy
  • Wind Energy

 

 同分野の標準作成のプロセスは、これらの分野に属する企業が直面する、操業の安全性、緊急時対応、あるいは社会への対応等の課題において、重要(マテリアル)とみなされる項目を専門家集団で構成するWorking Groupが抽出した。それらの項目の開示手法についても定めている。

 

 またコミュニティや環境への影響を削減するためのデザインや、革新的な製品開発というビジネス機会の可能性の評価についても言及している。6業種平均で5つの項目を抽出、それらのうち69%は定量評価で表すことを求めている。

 

 たとえば太陽光エネルギー業種では①製造工程でのエネルギーマネジメント②同じく水資源マネジメント③有害物質マネジメント④事業計画に伴うコミュニティと生態系への影響について④エネルギーインフラ統合のマネジメントと関連する規制⑤製品ライフサイクルの環境影響⑥資源の原産地ーーを抽出した。

 

 太陽光発電などの再エネ事業は、それ自体では化石燃料発電に比べてクリーンだ。しかし、パネルや躯体等の製造工程において、ESGに負荷をかける形になっていないかを、投資家等が検証できるような情報開示を求めている。

 

 開示の手法としては①の場合、製造工程で使用する全エネルギー量と使用電力に占める再エネ電力の割合を、それぞれGigajoules (GJ)と、Percentage (%)で表記する。③の有害物質マネジメントでは、製造工程で使用する有害物質の量とリサイクル比率が開示対象。また、漏洩した件数と漏洩量、回収量をそれぞれ定量記載する、などとしている。

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 これらの産業分野の特徴として、SASBのCEOのJean Rogers氏は「太陽光や風力、燃料電池、バイオ燃料などの再エネ分野の産業はまだ黎明期である点や、あるいは過当価格競争で収益が薄いなどの点で、効率的な操業をしたり、コスト削減をすることが難しい状況にある。SASBの基準は、そうした企業にとっての課題の開示を明確にしやすくする」と指摘している。

 

http://www.sasb.org/standards/download/