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クリーンビジネス収入を評価する世界企業の「Clean 200」ランキング。1位にトヨタ自動車。ハイブリッド車で収益強化を評価。日本企業は200社中に15社。米・カナダの機関が初の共同調査(RIEF)

2016-08-17 11:34:46

Clean200キャプチャ

 

 クリーンエネルギーからの収入をベースに世界の大企業を評価する新たな「Carbon Clean 200」ランキングが発表され、トヨタ自動車がトップに立った。世界市場でハイブリッド車を中心に低公害車を展開し、市場シェアを獲得した点が評価された。日本企業は15社がランク入りした。

 

 「Clean 200」のランキングは、米国のアドボカシー団体のAs You Sowと、カナダの調査研究機関のCoprorate Knightsが共同で開発した。対象企業は、時価総額(2016年第2四半期末)が10億㌦以上、グリーンエネルギー等からの収入が全収入の10%以上。

 

 さらに、ネガティブリストも加味した。石油・ガス産業と再エネ発電が収入の50%以下の公益事業、石炭産業の収入ベースでトップから100位までの企業は除外した。さらにネガティブな社会的クライテリアとして、兵器産業(トップから100位まで)、熱帯林伐採企業、児童労働・強制労働問題を抱える企業、気候変動問題にネガティブロビー活動をしている企業なども排除した。

 

 これらのクライテリアを満たして選ばれた企業はいずれも、低炭素社会、持続可能性経済への移行に向けて、すでに成果を上げている企業としての評価を得たといえる。そのトップに日本のトヨタ自動車が選ばれたことになる。

 

 トヨタはハイブリッド車の市場リーダーとして業績をあげてきた。2位は再エネ発電や送電システムなどに強いドイツのシーメンス、3位は電機製造業の米ジョンソン・コントロールズ社。

 

  日本企業は、5位にパナソニック、15位にシャープ、以下、京セラ(32位)、信越化学(39位)、荏原製作所(46位)、住友林業(47位)などで、200社中、15社を占めた。風力発電のヴェスタス(デンマーク)は7位、米国のエコカー企業のテスラは17位、太陽光発電のファースト・ソーラー(米)は19位。中国のクリーンエネルギー関連企業のランク入りが目立った。

 

 選ばれた200社を産業別にみると、一般産業が96社、情報技術45社、一般消費財と公益事業がそれぞれ17社、素材16社、生活必需品5社、金融2社、エネルギーとヘルスケアが各1社となっている。

 

 今回が初の「Clean 200」となったため、評価結果についてはいくつかの論点がある。一つは、トヨタはハイブリッド車販売が売り上げに大きく貢献して評価されたが、ハイブリッド車はガソリンエンジンとの併用である点で、よりクリーンな電気自動車や燃料電池車の評価をもっと高めるべきではないかという点。

 

 また、クリーンエネルギー評価以外に、児童労働や生態系保全などの社会的評価なども加味したが、このEとSの評価が十分に融合していないのでは、との指摘もある。

 

 Clean2002キャプチャ

 

 ただ、今回「Clean 200」にリスト入りした企業の株価業績を、「S&P1200」、石油やガスなどのカーボン資産の多い企業を対象とする「Carbon Underground200」と比べると、明らかにClean200は他の二つの指標を大きく上回っている。その要因としては、一つは政策的にクリーンエネルギー転換を推進している中国のクリーンエネルギー企業が多く含まれているのと、石油価格の低下の影響が大きいとみられる。石油価格が上昇すると、Carbon Underground200の業績が向上し、Clean200との差が縮小するとみられる。

 

clean200キャプチャ

http://www.corporateknights.com/channels/responsible-investing/carbon-clean-200-14712444/