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地球温暖化対策のパリ協定、年内批准の見通しへ。57カ国の批准の手応え。9月の国連特別会合で明確に(RIEF)

2016-08-21 13:31:28

Parisキャプチャ

 

 地球温暖化対策で昨年末に国際合意したパリ協定の批准が年内に達成できる見通しとなった。57カ国がすでに批准したか、あるいは批准作業を進めていることが確認され、排出量の条件も満たされる見通しという。

 

 パリ協定が発効するには、世界の排出量の55%以上を排出する55カ国以上の批准が必要とされる。現在、国連の気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)の集計では、国ベースでノルウェー、ペルーやツバル、マーシャル諸島など温暖化の影響を受ける島嶼部諸国など22か国で、排出量では1.08%に過ぎない。

 

 しかし、ドイツの環境NGO、Climate Analyticsの推計では、公式、非公式に年内批准を宣言している国を合わせると、57カ国、排出量合計で57.88%に達する見通しとなった。

 

  年内批准の方針を示している国は、米国、中国、日本、ニュージーランドなど。排出量で4.1%を占めるインドは6月に早期批准の姿勢を示したが、Climate Analyticsはインドのその後の動きが明確ではないことから、同国は含めていない。それでも条件を達成できる見通しという。

 

 国数と排出量の条件達成を満たせば、一か月後に協定は正式に発効する。国連の潘基文事務総長は9月21日に世界のリーダーたちを集めた気候変動会合を予定しており、その時点で大勢が明確になる期待がある。

 

 また10月7日までに条約発効の見通しが得られると、11月にモロッコで開催するCOP22(気候変動枠組条約第22回締約国会議)は、協定発効を前提とした各国の削減目標達成のための政策協議が中心になるとみられる。

 

 UNFCCCの事務局長のPatricia Espinosa氏は、 「(年内の批准は)非常に可能性が高まっている。今や、気候変動による悪影響を避けるためにともに立ち上がって、実施する時がきた」と指摘している。

 

 パリ協定の年内批准は、11月の米国大統領選挙と密接な関係がある。共和党候補者であるドナルド・トランプ氏が、温暖化懐疑の姿勢を明確にしており、大統領に選出されるとパリ協定から脱退することを表明しているためだ。

 

 協定では、新大統領が就任する前に、条約が批准・発効していると、3年間は離脱できない規定となっている。また仮に離脱を決めても、実施は1年後になることから、米大統領の4年の任期中に協定を無効にすることはできない。

 

 逆に、パリ協定の発効が米大統領選挙前に明確になると、選挙にも微妙な影響を及ぼす可能性もある。

 

http://unfccc.int/focus/ndc_registry/items/9433.php