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個人投資家の小口不動産投資を促す「不動産特定共同事業」のESG化盛り込む検討会始動。投資家保護とブロックチェーンなどの新技術、事業者のガバナンス向上目指す。国土交通省(RIEF)

2019-09-29 09:22:16

kokudokotsuキャプチャ

 

 国土交通省は、小口の不動産投資を促進する「不動産特定共同事業」へのESG配慮を盛り込むため、「ESG投資を踏まえた不動産特定共同事業等検討会」を27日に発足させた。投資家保護を図るとともに、ブロックチェーンなどの新技術やESG配慮を取り込んだ不動産投資市場の新たなスタンダード対応を進める方針だ。

 

 政府は不動産投資市場の拡大を政策課題に掲げている。2020年頃までにREIT(不動産投資信託)等の資産総額を約30兆円に拡大する目標を掲げている。2019年3月時点の実績は約24.2兆円。

 

 そのためには、出資を募って不動産を売買・賃貸し、その収益を分配する「不動産特定共同事業」をさらに活発化させる必要があるとし、2017年の不動産特定共同事業(FTK)法改正で、小口の小規模不動産特定共同事業の創設、クラウドファンディング対応による個人投資家の呼び込み等を整備した。

 

REIT33キャプチャ

 

 小口の不動産投資商品は、多くの個人から資金を集め、その資金で現物不動産を購入、そこから得られる賃料収入を出資者に分配する仕組みの商品。一口数万円から100万円で投資できるものもあるという。

 

 個人投資家が現物不動産を一棟単位で購入し、賃貸に回すサブリース契約等に比べて、少額で不動産投資が始められるメリットがある。また不動産特定共同事業者が不動産の管理・運営を行う利便性もある。

 

 ただ、サブリースの場合、転貸賃料のさや抜きなどの悪質な手法を使う業者が横行している問題が指摘されている。こうしたことから、仲介する不動産特定共同事業者のガバナンス体制の健全化や、購入不動産の環境負荷低減効果を高めるなどのESG配慮の取り扱いを検討することになる。

 

 個人投資家が安心して不動産投資を行うには、ガバナンス面の整備と連動した投資家保護の強化が必要。また物件の環境価値が物件価値にも反映することから、ブロックチェーンなどの新技術を活用した太陽光発電設備の整備、省エネ化等によって環境価値を高める必要性も強まっている。こうした課題の整理と、取り扱いの検討のため、今回の検討会設立となった。

 

 不動産特定共同事業へのESG配慮については、8月2日に開催された第11回不動産投資市場政策懇談会で、検討会の設置が決定されていた。

 

 同検討会の委員は下記の通り。

  • 早稲田大学 総合研究機構 研究院客員教授 赤井 厚雄氏
  • 不動産証券化協会 事務局長 今井 真祐氏
  • 東京合同法律事務所 弁護士 坂 勇一郎氏
  • 長島・大野・常松法律事務所 弁護士 田中 俊平氏
  • 牛島総合法律事務所 弁護士 田村 幸太郎 氏
  • さくら綜合事務所 代表取締役 公認会計士・税理士 中村 里佳氏

 

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001309388.pdf