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福岡市、国の目標を上回る「温暖化対策実行計画」改定案、議会に提出。2030年度50%削減、40年度にネットゼロ実現目指す。自動車対策と再エネ対策に力(RIEF)

2022-07-27 12:22:01

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 福岡市は、市の産業、家庭等から排出される温室効果ガス(GHG)排出量を、2030年度には国の目標を上回る50%とし、2040年度には森林等による吸収力を加えて、国より10年早くネットゼロの実現を目指す「地球温暖化対策実行計画」改定案を、このほど議会に提出した。同市の2019年度のGHG排出量は29%削減(2013年度比)で、現行計画の28%目標を達成している。ただ、自動車部門の排出量削減が予定通りには進展しておらず、改定目標の達成には、電気自動車(EV)普及等がカギとなる。

 

 (写真は福岡市役所本庁舎)

 

 報道によると、福岡市の高島宗一郎市長は「(地球温暖化で)台風などの甚大な被害が想定される中、そうした被害を食い止めるためにも、(温暖化対策を)しっかりとやらなければいけない。数値(2030年度排出量50%減、40年度ネットゼロ)はその決意を示したもの」と述べている。

 

 同市の現行の地球温暖化対策実行計画は、2016年の制定で、2030年度目標は28%削減(13年度比)だが、すでに19年度に達成した。部門別では、家庭、業務の両部門は予定したエネルギー消費量の削減目標をほぼ達成したが、自動車新車販売に占めるEV等の電動車比率は目標(20%)に対し、19年度の実績でわずか1.1%。また再生可能エネルギー発電量は、目標の40万kWに対し、22.3万kWと半分強にとどまっている。

 

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 削減目標を50%に引き上げる改定計画の達成には、この自動車の電動化対策と、電力の再エネ比率上昇の2分野が重要になる。自動車対策ではEV等の普及を進めるため、市内の充電インフラの充実、車体価格の低下、車種の増加等を推進する。

 

 充電インフラの整備では、「急速充電設備」の設置に補助を出すほか、市内の駐車場管理者や、管理者から許可を得た業者などが、公共の充電設備を設置する場合、設備本体の価格の半分(上限100万円)まで補助する。現在57基市営の充電インフラを、30年度末までに150基に増やす。

 

 次世代電動車向けの購入補助枠も拡大する。EVのほか燃料電池車(FCV)も含め、補助金として今年度は前年度比2.6倍の4675万円の枠を設けた。国の制度と併用すればEVで、1台当たり最大95万円の補助を得ることができる。補助金の活用で、年223㌧のCO2を削減できる計算になる。単純計算では、市全体の自動車のうち10台に1台をEV化すると4万㌧のCO2を削減できる。

 

 発電分野では、売電を主目的とする大規模な太陽光発電は、FITの買取価格の低下等による事業性の低下や適地の減少により、新規導入が減っている。そこで、住宅、建築物等への太陽光発電設備の設置を進めるほか、市有施設への太陽光発電設備の導入や、下水バイオガスからの水素製造、バイオマス発電等も、促進する。

 

 GHG吸収源の強化では、森林の間伐等を実施し、吸収力を高める政策を進める。現状の森林間伐面積の1301ha(2020年度)を26年度までに25%増の1630haに引き上げる。森林保全への市民ボランティアの参加を広め、ブルーカーボン創出のアマモ場づくり等も広げる。

https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/95961/1/20220420_shiryo1.pdf?20220512101446

https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/95961/1/20220420_shiryo2.pdf?20220512101446