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ギルボ―・カナダ環境気候変動相。「国内石炭火力発電の段階的廃止」を主張。アンモニア混焼は「排出削減対策」として「好ましくなく、カナダの選択肢にはない」と明言(各紙)

2023-04-13 22:50:25

Canadaキャプチャ

 

 各紙の報道によると、G7気候・エネルギー・環境大臣会合に出席するために来日したカナダのスティーブン・ギルボー(Steven Guilbeault)環境・気候変動相は13日、日本のメディアの取材に応じた。同会合では、国際的な化石燃料エネルギー部門への新規の公的支援を2022年末に停止させるとした昨年会合の公約をめぐる対立のほか、国内の石炭火力発電所についても2030年までの廃止を盛り込むかが焦点だ。ギルボー氏は「CO2の排出削減策がとられていない化石燃料は段階的に廃止すべき」と述べるとともに、日本が主張する石炭火力へのアンモニア混焼は「経済的にも好ましくなく、カナダの選択肢ではない」と述べた。

 

 日本経済新聞、毎日新聞等が報道した。ギルボ―氏は今週末開くG7気候・エネルギー・環境大臣会合について、「化石燃料についてG7の共通認識を見いだすことが非常に重要だ」「(大臣会合の共同声明に)化石燃料の段階的廃止」を含めるべきだとの考えを示した。

 

 同氏は環境保護団体「グリーンピース」の元活動家で、「グリーン・ジーザス」の愛称で知られる。同氏は地球温暖化への対応は「時間切れが迫っている」と指摘。3月に発表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新報告書を踏まえ、カナダが掲げる2030年以降の中長期の温室効果ガス削減目標の見直しも検討する必要があるとの考えを示した。

 

 G7関係大臣会合に関しては、2030年までの国内の石炭火力発電所を廃止する案を念頭に置く形で、「カナダは化石燃料の使用によって出たCO2は全て回収される必要があるとの立場だ。そうした削減策がとられていない(unabated)化石燃料エネルギーの使用(火力発電)は段階的に廃止すべきだ」と述べた。同氏は「廃止」の時期は明言しなかったが、30年を軸とした石炭火力の段階的廃止を受け入れるスタンスを示した。

 

 一方で、G7議長国の日本が国内石炭火力の廃止を会合のコミュニケに盛り込むことを強く反対しているとされることに配慮してか「国によってそれぞれ事情がある」とも語った。ただ、同氏が「削減対策」として想定する対応策のうち、日本が重視している石炭火力にアンモニアを混焼させて、廃止対象から除外させる措置ついては、「(アンモニア混焼は)経済的にも好ましくなく、カナダの選択肢ではない」と異論を唱えた。

 

 アンモニアは燃やしても温暖化ガスが出ないが、そのCO2削減効果には多くの疑問が示されている。「石炭火力でのアンモニア20%混焼による排出量は、ガス火力複合サイクル発電所に比べて2倍の排出量に相当する。アンモニアの最も安価な供給源は現在、火力発電用の一般炭価格のおよそ4倍。もし再エネ発電を使ったグリーンアンモニアでの混焼が実現するとした場合、そのコストは石炭価格の15倍に拡大する」(Asia Research and Engagementのカート・メッツガー氏)。https://rief-jp.org/blog/134385?ctid=33

 

 またギルボ―氏は昨年、カナダ・モントリオールで開いた国連の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」が採択されたことを受け、生物多様性を保護するための取り組みなどを「各国が国内法で目標を明記し、採択することが重要だ」と述べた。

https://mainichi.jp/articles/20230413/k00/00m/040/301000c

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB126VX0S3A410C2000000/?type=my#AAAUAgAAMA