HOME5. 政策関連 |EU排出権取引制度(EU-ETS)改革、EU理事会で決定。輸入品にカーボン税を課す「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」2026年導入。建物・道路交通対象「ETS2」は27年導入(RIEF) |

EU排出権取引制度(EU-ETS)改革、EU理事会で決定。輸入品にカーボン税を課す「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」2026年導入。建物・道路交通対象「ETS2」は27年導入(RIEF)

2023-04-26 22:25:22

EUcoucilキャプチャ

 

 EU理事会は25日、2030年の気候目標を達成するためのEU排出権取引制度(EU-ETS)の改革案を含む気候政策の改革法案を了承した。同案についてはすでに18日に欧州議会で賛成多数で採択されていた。この結果、改定EU-ETSを元に、鉄鋼、セメント等の6業種を対象に、EUよりも気候対策の低い国からの輸入品にカーボン税を課す「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」が2026年から導入される。また、建物や道路交通を対象とした新たな排出権取引「ETS2」も27年から導入が決まった。

 

 理事会が承認した気候対策法案は、EU-ETS改革で、鉄鋼や航空会社等向けの排出枠の無償配分を2026年までに廃止するほか、新たに船舶をETSの対象に加える。CBAMやETS2の導入、さらに消費者負担等を軽減するための社会気候基金(SCF)の創設等。いずれも、2030年の温室効果ガス入収量55%削減(90年比)に向けてEUが推進している「Fit for 55」政策の改革強化となる。https://rief-jp.org/ct5/134730?ctid=71

 

 今回のETSの改革で、2030年排出量削減計画のうち、62%(2015年比)をETSによって削減することになる。現行計画の43%から約20%ポイント上昇する。今回の改革案でETSの対象に新たに加わる船舶については、2024年に40%削減、25年70%、26年に100%削減を段階的に課す。メタンや酸化二窒素(OH2)の排出量も24年からMRV規制の、26年からETS規制の対象となる。

 

 CBAMについては、対象製品を製品を輸出する企業今年10月から、製品のCO2排出量の報告を義務づけられる。25年末までは報告義務だけだが、26年から鉄鋼、セメント、アルミニウム、肥料、電力、水素の6業種と、関連する製品等は段階的にカーボン税の支払いが必要になる。

 

 新たなETS2では、建物や道路輸送のために燃料を供給する事業者に対して排出削減が課される。事業者はそれらのコストを製品・サービスに転嫁することになる。燃料となる石油・ガス価格が異常に高騰した際のセーフガードシステムも導入される。

 

<関連する改正法案と関連する声明>

 

https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2023/04/25/fit-for-55-council-adopts-key-pieces-of-legislation-delivering-on-2030-climate-targets/