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「第8回グローバル・グリーンファイナンス・センター調査」、1位は英ロンドン。東京は前回(4月)のアジア首位の13位から、9ランクも下落し22位。アジアの5番手に後退(RIEF)

2021-10-27 00:17:09

GGFI8001キャプチャ

 

   英シンクタンク等が公表した「第8回グローバルグリーンファイナンスインデックス(GGFI8)」によると、世界のグリーンファイナンスセンターのトップには、英ロンドンが前回調査(4月)で一位だったオランダ・アムステルダムを抜いて返り咲いた。東京は前回はアジアトップ(13位)だったが、今回は22位と大きく下がり、アジアでも北京、上海、ソウル、シンガポールに抜かれて5番目と低迷した。

 

 GGFI調査は、英シンクタンクZ/Yenが半年ごとに実施している。今回は世界80の金融センターを対象に、それぞれの市場でのグリーンファイナンスの品質・深度等を、当該市場に詳しい各分野の専門家等へのアンケート調査と、市場評価スコア等を合わせて評価する手法をとる。今回のアンケートには世界中で776人の専門家が参加した。

 

 GGFI8では前回、トップの座から滑り落ちたロンドンが、1期で返り咲いた。前回1位だったアムステルダムは2位に下がり、3位にはサンフランシスコが2ランクアップで就いた。スイス・チューリッヒを1ポイントの差で退けた。ロンドンの首位回復は、英政府がグリーンファイナンスでの積極的な政策展開や、初のグリーン国債の発行、今月末からの国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を英グラスゴーで開催することに伴う気候リーダーシップの発揮等が市場関係者に評価されたとみられる。

 

東京は22位なので、上位20位のランク外
東京は22位なので、上位20位のランク外

 

 上位10位はすべて欧米都市だった。欧州都市が多いが、米国では3位のサンフランシスコに次いで、ロサンゼルスが8位に入った。西海岸の両都市が、東海岸のニューヨーク(13位)、ワシントン(15位)をリードする形になった。ニュヨークも前回の31位から18ランクアップし「最大の飛躍」都市になった。バイデン政権による気候・環境政策の強化が評価されたとみられる。

 

 欧米都市以外では、11位に中国・北京、14位に同・上海、16位にソウルとシンガポールが入った。いずれも前回調査より数ランク前後のアップで、アジア諸国の金融センターでもグリーンファイナンスへの取り組みが着実に広がっていることを示している。

 

 その中で、低調さが際立ったのが東京だ。前回のアジアトップの13位から、9ランク下がり、トップ20位にも入れない22位にとどまった。アジアでは5番目に下がったほか、アジア太平洋という分野ではシドニーにも抜かれて6番目になる。

 

 同調査では東京の人気低下についての個別の分析を公表していない。プラス面では、今年の日本市場でのグリーンボンドの発行は過去最高額が期待されるほか、メガバンク等は相次いでサステナブルファイナンス額を増額し、政府は「2050年ネットゼロ」を宣言した。

 

 ただ、日本のグリーンボンド等のESG債市場は、ほとんどが日本企業のみの発行で、国際性を欠くほか、それらの債券の基準が、グリーンボンドは環境省、トランジションボンドは経産省、ソーシャルボンドは金融庁と、役所の権限で3分されるという「日本特有」の事情等が、グリーンな市場になじまないとの指摘がある。政府と東京都の連携不足も市場の魅力を損なう要因だ。

https://www.longfinance.net/programmes/financial-centre-futures/global-green-finance-index/