HOME7.金融NPO |日清食品。インドネシアでのパーム油資源の調達で、違法伐採等の疑いのある問題企業3社への対応を「苦情処理リスト」で初公開。環境NGOの要請を受けたコンプライアンス対応が機能(RIEF) |

日清食品。インドネシアでのパーム油資源の調達で、違法伐採等の疑いのある問題企業3社への対応を「苦情処理リスト」で初公開。環境NGOの要請を受けたコンプライアンス対応が機能(RIEF)

2023-06-28 23:11:47

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 日清食品は28日、東南アジア等で違法伐採や生態系保全等の環境・社会面での問題が指摘されているパーム油取引を対象とした「苦情処理(grievance)リスト」を初めて公表し、取引に問題があったインドネシアの3社の企業との取引を停止したことを明らかにした。同リストの設定は、環境NGOの「レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN:米サンフランシスコ)などが要請していた。NGOの要請に基づくコンプライアンス対応によって、問題企業との取引を排除できたことになる。

 

 日清食品に苦情処理リストの設定を要請してきたRANの日本代表、川上豊幸氏は「日清食品が苦情処理リストを公開したことは、問題あるパーム油をサプライチェーンから確実に排除する上で、一歩前進といえる。違法パーム油や森林破壊に関与した農園との取引を同社が停止した措置は、パーム油サプライチェーンで、問題が発覚した場合の是正措置の実行と、(パーム油を調達する際は)農園までのトレーサビリティを確保する必要性を示す事例になった」と評価している。

 

 苦情処理リスト(英語版のみ)に掲載された企業の一つ「PT. Bangun Sempurna」社の場合、昨年9月に、インドネシアのRawa Singkil 野生保護区から違法に伐採されたパーム油を販売しているとの苦情が示された。苦情を受けた日清側の調査の結果、同社が調達したパーム油は管理された農場からのものだったとしたうえで、当該企業がパーム油開発等での基本原則であるNDPE方針(No Deforestation, No Peat, No Exploitation=森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)を全体として守っていなかったと判断、同年10月18日に同社からの調達を停止した。

 

日清食品が公開した苦情処理リストの3社
日清食品が公開した苦情処理リストの3社

 

 他の2件も、現地での未開拓の自然地域での伐採の嫌疑と、現地コミュニティでの土地の所有権を侵害し、NDPE方針も守っていなかったとの苦情案件で、ともに、調査後に同社は取引停止扱いとしている。

 

 今回の苦情処理リストで示された調達状況の実態を受けて、RANでは、「インドネシア等の生産地では森林破壊と人権侵害が依然、続いている。『責任あるパーム油生産』には国際基準のNDPE方針に基づいたものだけを調達対象にする必要がある」とし、日清食品の追加的な対応を求めている。


 RANのほか、ウータン・森と生活を考える会、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)の3NGOらは、同日開いた日清食品の株主総会前に、同社が2030年度としている「持続可能なパーム油調達比率100%」実現を大幅に前倒しするよう求める署名活動の成果として48,409筆(日本語約13,432筆、英語版 約34,977筆)の署名を同社に提出した。RANが2022年に実施した「森林&人権方針ランキング」で同社は20点満点中4点で、他2社とともに最下位グループの「不可」と評価されている。

https://www.nissin.com/jp/sustainability/environment/business/procurement/#procurement_materials


https://www.nissin.com/jp/sustainability/environment/business/procurement/pdf/PalmGrievanceTracker.pdf

https://www.nissin.com/jp/sustainability/management/policy/basic-policy/