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パリ協定の「国が決める貢献」(NDCs)の改定案提出国110カ国に。何とか過半数を超える。中国、インド、南アフリカ等は未提出。11月のCOP26に向けて「中国・インド」が焦点に(RIEF)

2021-08-02 23:16:40

COP25キャプチャ

 

  国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)は、11月の気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に向けて、先週末時点で110カ国が改定NDCs(国が定める貢献)を提出したと明らかにした。提出国は締約国全体の58%で、最大の排出量である中国や第3位のインド等はまだ提出していない。

 

 UNFCCC事務局長のパトリシア・エスピノーサ氏は「改定NDCsは昨年末時点では75カ国だったが、110カ国となった。だが、過半数を少し上回っただけで、まだ不十分」と不満を示した。提出国の40%は温暖化の影響を大きく受ける小規模な島嶼部諸国で、中国やインドのほか、南アフリカ、サウジアラビア等は、まだ提出していないためだ。

 

 FCCCは先週末を改定NDCsの提出期限として設定したことから、先週中に提出する国が集中した。イスラエル、オマーン、ザンビア、ナイジェリア、マレーシア、サモア、ナミビア、スリランカ、セーシェル、ギアナ、バルバドス、マラウィ等の諸国。すでに日本のほか、EU各国、米国、カナダ等も提出した。

 

UNFCCCのエスピノーサ事務局長
UNFCCCのエスピノーサ事務局長

 

 当初、各国は2020年に改定NDCsの提出を求められていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、COP26自体が1年延期され、NDCs改定もずれ込んでいた。昨年12月末に75カ国が提出した時点で、UNFCCCが実施した分析では、グローバル排出量の30%分しか改定されず、2030年時点の排出量の追加削減は0.5%(2010年比)でしかなかった。

 

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、パリ協定の目標達成のためには、温室効果ガス排出量を2030年時点で少なくとも45%(2010年比)の削減が必要と推計している。今回の35カ国を加えた110カ国による追加削減でも、IPCCの推計を満たすことは厳しい。

 

 このため、今後の焦点は、中国、インド等のNDC未改定国がどこまで踏み込むかにかかってくる。米大統領気候特使のジョン・ケリー氏は7月、世界の排出量の27%を占める中国に向けて「2060年までのネットゼロ達成」「2030年の温室効果ガス排出量のピークアウト」の現行の目標を前倒しするよう公式に求める発言をしている。https://rief-jp.org/ct8/116412?ctid=70

 

 ケリー氏は「世界最大のCO2排出国の中国が2030年まで排出量のピークアウトを実現できないと、米国や他国は2035年あるいは40年までにネットゼロを実現しなければならない」と、中国の「野心的な改定」がないと、パリ協定の枠組みが崩れるリスクにまで言及した。

 

https://unfccc.int/news/statement-by-patricia-espinosa-on-national-climate-plans-submitted-by-31-july