HOME8.温暖化・気候変動 |中国、パリ協定での「国別温暖化対策貢献(NDC)」改定版を国連に提出。削減目標の追加は盛り込まず。「われわれは発展途上国」を強調(RIEF) |

中国、パリ協定での「国別温暖化対策貢献(NDC)」改定版を国連に提出。削減目標の追加は盛り込まず。「われわれは発展途上国」を強調(RIEF)

2021-10-29 15:56:51

China002キャプチャ

 

  中国は28日、パリ協定での国別温暖化対策公約(NDC)の改訂版を国連気候変動枠組み条約事務局(UNFCCC)に提出した。新NDCでは、2030年までに排出量をピークアウトさせるほか、2060年までに炭素排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を達成すること等を明記した。これらの方針はすでに習近平国家主席が国際的に明らかにしており、目標の追加的強化は見送った。

 

 中国は世界最大の温室効果ガス排出量を続けており、そのウエイトは世界全体の4分の以上を占める。COP26に向けてこれまで各国が宣言した追加的削減策を合計しても、2030年の排出量は現行(2010年比)16%増となり、今世紀末の世界の気温上昇はパリ協定の目標である「1.5℃」「2.0℃」を上回る2.7℃になると推計される。このため、最大排出国の中国の追加的削減対応に期待が寄せられていた。https://rief-jp.org/ct8/119352?ctid=70

 

 中国は2030年ピークアウトと2060年カーボンニュートラルの両目標に加えて、2030年までにGDP当たりの排出量を、2005年水準から65%削減するほか、CO2吸収源の森林資源を60億㎥(05年比)拡大すること、風力や太陽光等の再生可能エネルギーの導入量を全体で12億kWに引き上げること等の目標を盛り込んだ。

 

 中国は改定NDCで追加目標を上積みできない理由として、「中国は人口14億人を抱える途上国であり、経済発展、人々の生活向上、環境ガバナンス、気候変動対応等の諸課題への対応を同時に直面している。社会主義の初期のステージでの不均衡と不十分さが今も長く残っている。石炭資源は十分あるが石油・ガスは不足しており、成長モデルの転換や、経済構造の最適化、成長ドライバーのシフト等で厳しい過程にある」と指摘。「発展途上国」であることを強調した。

 

  さらに「産業化と都市化の進展で、エネルギー需要は上昇を続けていくことから、石炭を軸とするエネルギー構造を構造的な転換は短期的には難しい。加えて、グローバルな気候ガバナンスに伴う新たな課題と挑戦が浮上している。それはユニラテラリズムであり、保護主義であり、反グローバリズムだ。いずれも気候変動でのグローバル協力に逆効果となる」と述べ、欧米主導で気候削減目標の強化を促す動きに反発する姿勢を示した。

 

 そのうえで、「こうした状況下でも中国は気候変動に積極的に取り組む決意は揺るぎがない。気候変動に対処するコミットメントは不変であり、この問題を公平かつ衡平に対処する姿勢に変わりはない。新型コロナウイルス感染からの経済回復期において、中国は今回の改定NDCを経済転換を促進し、高いレベルでの発展につなげるための努力を続ける」としている。

 

https://www4.unfccc.int/sites/ndcstaging/PublishedDocuments/China%20First/China%E2%80%99s%20Achievements,%20New%20Goals%20and%20New%20Measures%20for%20Nationally%20Determined%20Contributions.pdf