HOME8.温暖化・気候変動 |日本の2021年度温室効果ガス排出量、前年度比2.0%増え11億7000万㌧。コロナ禍回復で企業の排出増により8年ぶりの増加。現状ペースでは2030年度目標は達成できず。環境省(RIEF) |

日本の2021年度温室効果ガス排出量、前年度比2.0%増え11億7000万㌧。コロナ禍回復で企業の排出増により8年ぶりの増加。現状ペースでは2030年度目標は達成できず。環境省(RIEF)

2023-04-21 12:47:13

GHG0011キャプチャ

 

 環境省は21日、2021年度の日本の温室効果ガス(GHG)総排出量(確報値)が11億7000万㌧で、前年度比2.0%増だったと発表した。GHG排出量が増加したのは8年ぶり。同省では、前年度の20年度は新型コロナウイルスの影響によって経済活動が停滞し、排出量も減少したが、コロナ禍からの緩やかな回復とともに、経済活動からの排出量が増加に転じたとみている。森林等によるGHG吸収量は4760万㌧で、吸収量を差し引いた総排出量は11億2200万㌧になる。

 

 政府が2030年目標とする46%削減の基準年の2013年度比では16・9%減。京都議定書の基準年の1990年比では8.2%減となる。90年との削減量の差は1億500万㌧で、31年間での削減ペースは年平均338万㌧減となる。30年目標では排出量を8億1300万㌧にまで削減する必要があるが、これまでの削減ペースでは達成は不可能で、政府の積極的な削減対策が必要だ。

 

 21年度の部門別では電力等の電気・熱配分前の排出量は、エネルギー転換部門の排出割合が40.4%ともっとも大きい。次いで産業部門(25.3%)、運輸部門(16.7%)の順。 家庭部門は4.8%。電力等を利用に応じて消費側に配分した「電気・熱配分後」の排出量は、産業部門が35.1%と全体の3分の1強を占め、次 いで「オフィス等の業務その他部門」(17.9%)、「運輸部門」(17.4%)の順。産業部門と業務その他部門を合わせると、企業活動からの排出量が国全体の排出量の半分以上を占めている。

 

部門別の1990年からの排出量の推移
部門別の1990年からの排出量の推移

 

 部門別の排出量の推移をみると、産業部門は前年度比5.4%増と同年度の総増減率よりも倍以上の伸び率。オフィス等の業務その他部門が3.3%増、自動車の排出量等の運輸部門0.8%増。家庭部門は6.3%減で、部門別では「その他部門」を除くと、唯一、排出量削減に貢献したことになる。排出削減で家庭に対して追加の削減を国民運動的に求めるより、産業部門の本格的な脱炭素化が必要ということになる。

 

 森林等からの4760万㌧の総吸収量には、同年度からブルーカーボン生態系のマングローブ林による吸収量をカウントすることにし、2300㌧を計上したとしている。

 

https://www.env.go.jp/content/000128749.pdf