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米倉経団連会長、石炭火力の環境アセス緩和を 環境省に要請(各紙) 温暖化政策の“骨抜き”目指す

2013-04-15 12:13:54

米倉経団連会長
米倉経団連会長
米倉経団連会長


各紙の報道によると、日本経団連の米倉弘昌会長は15日、石原伸晃環境相と都内で会談した。この中で、米倉会長は、石炭火力発電所の新増設や建て替えに際して、環境への影響を事前に評価する環境アセスメントの手続きの基準を緩めるよう要請した。

 

環境アセスメントは、環境負荷の大きなプロジェクト、事業等に際して事前実施が義務付けられている。しかし、経団連側は「経済的に調達可能なものでないと、産業界としては対応できない」と、環境評価よりも、経済的コスト面を重視する考えを示した。

これに対して、石原環境相は「(制度運営の)柔軟性はしっかり担保する」と一定の理解を示したものの、さすがに米倉会長の言うままだと、温暖化対策に逆行することから、「温暖化ガスが増えることも、しっかり考えないといけない」との考えも強調した。


 産業界では、再稼働が見込めない原発に代わる電源として、風力、太陽光などの再生可能エネルギーよりも、石炭火力発電を重視している。発電所建設のための重電設備投資、原料の石炭輸入の権益等で、規制産業が有利になるため。しかし、現在のアセスメントの手続きでは、二酸化炭素排出量の多い石炭火力は新増設が難しい。

これまでのところ、環境省と経済産業省はアセス期間の短縮では合意している。しかし、温暖化対策の国際交渉が2014年には実質合意するスケジュール感の中で、石炭火力の増設を加速させると、国際的に非難を受ける公算も大きい。このため環境省は石炭火力に必要な環境対策については、従来通りの基準で対応する姿勢で、政府部内でも調整が続いている。

目先の電源確保でアセス基準を緩めるか、国際的にも信頼される基準を維持し、エネルギー対策と温暖化対策の両立を目指すか。ここでも、安部政権の基本姿勢が問われる形だ。