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温暖化がノルウェーのトナカイに恩恵?食べる草が増えているとか(National Geographic) ではトナカイを食べるか。食べたことあるけど、結構、おいしいかった

2014-07-23 21:26:48

スピッツベルゲンの草を食む3頭のスバールバルトナカイ。2009年3月撮影。
スピッツベルゲンの草を食む3頭のスバールバルトナカイ。2009年3月撮影。
スピッツベルゲンの草を食む3頭のスバールバルトナカイ。2009年3月撮影。


本土から遠く離れたスバールバル諸島のトナカイたちは、地球温暖化で打撃を受けている他の動物たちをよそに、その個体数は増加を続け、繁栄すらしていることが新たな調査で明らかとなった。

 

スバールバルを含む北極圏では、過去20年の間に気温が上昇していることが、様々な記録で明らかであり、イギリス、マンチェスター大学のジョナサン・コッド(Jonathan Codd)氏によれば、それが原因でトナカイの個体数が増加している可能性が高いという。コッド氏のチームは、毎年行われているトナカイの調査に関わっている。

マンチェスター大学が発表した調査報告によると、2014年、アドベントダーレンで確認されたトナカイは1300頭、30%という、記録をつけ始めて以来最大の増加幅となった。そのうち300頭は、新しく生まれた子どものトナカイである。

トナカイの増加に他の原因が関わっている可能性も否めないが、コッド氏は、動物の個体数に気候変動が影響を与えているのは明白であるとしている。

例えば、比較的短い北極圏の夏の間にトナカイの食料となる草が、その地域の温暖化に伴ってより長い期間食べられるようになるということがある。

「食料が豊富にあれば、トナカイの体調も良くなり、北極圏の冬の寒さにもより耐えられるようになるだろう」と、コッド氏は説明する。

良い話ばかりではない

スバールバルトナカイ(学名:Rangifer tarandus platyrhynchus)は、短い脚や極めて厚い冬の脂肪など、厳しい寒さに耐えるための多くの適応力を備えており、冬の気温がマイナス5度~マイナス25度と大きく変化する北極圏ではそれらが特に役に立つ。また、寒い環境だけではなく、トナカイは実際には様々な気候の変化や食料の違いにも、よく適応することができるとコッド氏と言う。

しかし、暖かい冬がトナカイの個体群にはやっかいな点もいくつかあると、アラスカ大学フェアバンクス校の生物学者ペリー・バーボーザ(Perry Barboza)氏は言う。

例えば、気温が温かいと実際には降雪量が増加する。暖かい空気は、より多くの水分を含むためだ。雪が深く積もれば、動物たちが食料にたどり着くのが困難になる。

また、溶けた雪が再び凍ると、やはり同じように食料を得ることができず、動物たちは飢え死にしてしまう。

◆有意義なデータ

バーボーザ氏はまた、トナカイの個体数がしばしば、増加と減少のサイクルを繰り返していることを指摘する。その原因ははっきりとは特定されていないが、だからこそこのような長期的研究には非常に意義がある。

そして、スバールバル諸島の研究は、特定の群れを長期に渡って追跡しているという点でも特筆すべきだと付け加えた。

個体数に関する多くの研究はモデルに頼っており、正確性に欠けるが、スバールバルの研究者らは、個々のトナカイにタグをつけて数を数えている。この稀なデータセットは今後ますます価値あるものになっていくだろう、と語った。

 

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140723001