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経産省 2015年度の固定価格買取制度の太陽光発電価格を20円台(1kWh)に下げ。政策主導の”暴落”に(FGW)

2015-01-15 23:03:01

もう新たなメガソーラーは不要?
混迷を各紙の報道によると、経済産業省は15日開いた有識者会議で、太陽光や風力など再生可能エネルギー発電の固定価格買取制度(FIT)の2015年度価格改定作業で、これまで制度の中心だった太陽光発電価格についてIkWh当たり20円台にまで引き下げる方向という。

もう新たなメガソーラーは不要?
もう新たなメガソーラーは不要?


 

2012年に導入されたFIT制度では初年度(2012年度)の太陽光発電は10KW以上で1kWh当たり40円(税引き、20年)で設定された。しかし、2013年度は同36円、2014年度は32円と引き下げを続けてきた。制度発足の3年間は発電促進のための集中期間とされたが、それにしても3年間で2割減額、4年目にはほぼ3割減というのは、市場商品ではほぼ”暴落”に近い。

初年度の買取り価格を高めに設定し過ぎたため、事業計画の甘い参入者もこぞって申請、審査の側の甘さもあって、認可量が膨大に膨れ上がり、結果として接続留保問題を引き起こした。経済産業省の「武家の商法」で、せっかく再生可能エネルギーを普及させる制度が混迷を続けているといえる。

今回の価格改定について、経産省はFITが太陽光発電に偏重しすぎたのを是正する措置との位置づけのようだが、太陽光に偏重したのは、前述のように、まさに経産省の価格設定の甘さが原因だった。今回、太陽光発電を事実上、シャットアウトに近い価格設定とする一方で、風力発電や地熱発電の買い取り価格は据え置く方向というが、事業者が、すんなりと太陽光から風力、地熱にシフトするかどうかは疑わしい。

というのは、制度発足3年で、早くも政策リスク(規制リスク)が露呈したためである。今度は、いつ何時、FIT制度を根元から変更したり、場合によっては制度廃止に急旋回するリスクも想定されるからだ。政策がブレ続ける制度には、危なくて投資はできない、と判断する事業者が増えると、制度は機能しなくなってしまう。

再エネ投資を促進するFIT制度は、本来は、地球温暖化対策と連動するものでもある。したがって同制度は本来は、経済的に合理性を欠く原発再稼動を基本戦略とする経産省のエネルギー行政の下に置くよりも、温暖化政策を推進する環境省に制度運営を移管したほうが、合理的な運営が期待できる。

エネルギー政策と気候変動政策を一体運営する政策展開は、EUや英国ですでに実施され、成果をあげている。日本も見習うべき時にきているようだ。