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大手電力と新電力、CO2、35%削減の自主目標を発表。実効性に???(各紙)

2015-07-17 18:21:12

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大手電力10社と新電力23社などは17日、発電に伴う二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの削減を進め、2030年度の排出量を2013年度比で約35%減らす自主目標を策定したと発表した。販売電力量1kW時当たりの排出量を0.37kgとし、東日本大震災が発生した2010年度より少なくする。ただ、排出総量の削減目標や各社別の削減目標は示しておらず、実効性は不透明だ。

 大手電力と新電力が共通目標を策定するのは初めて。Jパワーと原子力発電専業の日本原子力発電も参加する。合計35社で現在の販売電力量の99%を占める。

 

 目標の達成状況は賛同した企業間で毎年確認し、翌年からの取り組みに反映していく、としているが、自己申告なのか第三者認証をとるのかは不明。また、今後電力自由化で新規参入が予想される新電力各社にもこうした自主規制を求めるのかも定かでない。新規参入への条件に削減目標を科すと、競争制限措置とみなされる恐れもある。

 

 既存の電力会社などは、こうした目標達成のために、原子力発電所の再稼働を加速させたり、老朽原発の運転延長を目指すとしている。また、再生可能エネルギーの導入も拡大する。CO2排出量が多いため、世界中で問題視されている石炭火力発電所については、新設の場合は最新鋭の設備を導入する、としたが、技術レベルや評価をだれが担うのかも不明。

 

 望月義夫環境相は17日の閣議後の会見で、電力各社が示した今回の枠組みについて「(環境省が電力業界に示している)3要件を確認しないといけない」と述べた。3要件は①電力業界が国の温暖化ガス削減目標達成を確実にする②すべての事業者が業界の自主削減計画に公平に参加する③削減の進捗管理。

 

 環境省は業界側が今回公表した枠組みは3要件を満たしているとはいえないと判断している模様。一方、政府は同日、地球温暖化対策本部(本部長・安部首相)を開き、わが国の温室効果ガスの排出削減目標を、2030年時点で、2013年比26%削減する目標を正式に決定した。同日中に国連に提出する。安倍首相は「国際的に遜色のない野心的な目標を決定した」と強調した。

 

 新たな政府目標については、米欧の目標に比べて、野心的ではないとの批判が環境NGO等から出されている。また目標とそれを達成する手段、対策の連動性が担保されていない点も指摘されている。目標達成のためには、現在、電力関係者が計画している新設の石炭火力発電所計画等を抜本的に選択、修正する必要があるとされる。