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CBIとUNEP(国連環境計画)が グリーンボンド市場育成・拡大のための「戦略的ガイドライン」を提唱(RIEF)

2015-12-14 22:15:09

Scalingキャプチャ

 英非営利団体のClimate Bonds Initiative(CBI)と国連環境計画(UNEP)は、グリーンボンド市場を拡大するための「戦略的ガイド(Scaling Green Bond Markets-Guide for the Public Sector )」をまとめ、公表した。

 

「ガイド」は、CBIとUNEPの共同作業で、持続可能な金融システムを構築するために、先進国、途上国両方の政策当局がとるべき特別の行動を提案している。

 

 ガイドは3つの公的セクター向けの政策提言を含んでいる。まず、「基本的行動」として、グリーンボンドプロジェクトのパイプライン設計の構築、地域ごとのグリーンボンド市場の強化、戦略的な公的グリーンボンドの発行、さらにグリーンボンドの標準となるスタンダードの発展等をあげている。

 

 第二の提言としては、「認証された支援ツール」の提供だ。たとえば、戦略的な公的機関のグリーンボンド投資や、クレジットの増大、資産をまとめ、リスクを取り扱うための税制インセンティブや手段の発展等を想定している。

 

 第三は、「追加的な技術革新の展開」である。グリーン投資ためのリスク・ウエイトを調整し、中央銀行の金融操作においてもグリーン投資の取り扱いを選考するということである。

 

 実際に、こうしたグリーン評価を金融政策や国際的なベストプラクティスとして取り扱う手法は、各国のマクロ経済モデルや政策の優先度によって異なる、との弾力的な判断を踏まえている。公表されたレポートでの評価ポイントは、OECDが2016年に発足させる、各国個別の政策評価等の分析レポートに資する内容でもある。

 

 また、各国政府に対して、3つのアクションプラン(行動計画)として、①「グリーン投資計画庁(Green Infrastructure  Planning Agency)の設立②今後3-5年の投資期間のプロジェクトに対する機関投資家への働きかけ③グリーンボンド市場を育成するためには、国内市場の創出に向けた政策的対応の必要性ーーなどをあげている。

 

 CBI代表の Kidney氏は、「このガイドは、COP21で各国政府が示した国別目標案(INDC)を、具体的な気候変動対策の中にどう取り込んでいくかを示す指針となる」と評価している。

 

 グリーンボンドを、低炭素社会への移行や、インフラ構築、気候変動適応対策等に資する気候変動ファイナンスの中に位置づけることは、それらの領域への資金フローの拡大に資する、と位置づけている。信頼性があり、取引が活発で流動性の高いグリーンボンド市場が構築されると、各国の国別目標を実現する方向での投資促進につながる。

 

 UNEPFIの担当者であるNIck Robins氏は 「気候変動政策当局者間において、グリーンボンド市場を拡大することへの関心は一段と明確化している」と指摘している。COP21での合意を踏まえたグリーンボンド市場の展開は、クライメートファイナンスの潜在的な需要を喚起させるもので、都市や、地域、低炭素インフラ、そして多くの産業セクターにおいて、投資機会を低炭素化にシフトさせるものと期待されている。

 

 Robins氏は、こうした政府部門の動きとして、「政府部門の活動の活発さが目に付きはじめている。たとえば中国の中央銀行はグリーンボンド発行に向けた野心的な一連の政策プロセスを公表している。インドも金融規制当局が、グリーンボンド発行のガイドラインを公表した」と新興国の目覚しい動きを評価した。

 

 新興国の意識的な動きに呼応するように、欧州連合(EU)も、グリーンボンドガイドラインを公表するなど、制度整備に動き始めている。グリーンボンド市場を国内に作り出すこと自体が、市場資金の活性化につながり、必要な再生可能エネルギー等に市場資金を供給することにつながる。

 

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http://www.climatebonds.net/resources/publications/scaling-green-bond-markets-sustainable-development