HOME8.温暖化・気候変動 |今年の北極圏の海氷面積、過去2番目に小さいレベルにまで縮小。北極圏航路の利用は増大。ウェーザーニューズ社が公表(RIEF) |

今年の北極圏の海氷面積、過去2番目に小さいレベルにまで縮小。北極圏航路の利用は増大。ウェーザーニューズ社が公表(RIEF)

2019-12-19 12:49:57

northpole2キャプチャ

 

 ウェザーニューズ(千葉市)は、2019年の北極海の海氷が観測史上2番目に小さい面積に縮小したと発表した。年間最小となったのは9月17日で、面積396万㎢まで縮小した。2012年8月の最小記録に次ぐ。この結果、北極海航路の開通期間は北東航路(ロシア側)が8月20日から10月21日までと、これまでで最も遅い日まで開通した。北西航路(カナダ側)も9月1日から9月29日まで3年ぶりに開通した。

 

 北極圏の海氷面積は、毎年2〜3月に最大、9月に最小になる。今夏の北極圏は記録的な暑さが続き、ラプテフ海からビューフォート海では観測史上最速のペースで海氷域が減少した。カリフォルニア大学によると、北緯70度以北での8月の平均気温は過去40年間で最も高く、6月と9月の平均気温も過去2番目に高かった。今年の年間最大面積は3月12日に記録した1427万㎢。

 

2012年以降の海氷域面積の推移
2012年以降の海氷域面積の推移

 

 ウェザーニュース社は北極海を航行する船舶の安全運航を支援する『Polar Routeing』サービスを提供しており、今年は13航海をサポートした。船舶が、スエズ運河経由で航行した場合に比べて、CO2排出量は約1.25万㌧の削減に貢献できたとしている。

 

北極海航路の開通期間と2019年9月17日(年間最小日)の海氷分布。㊧北東航路、㊨北西航路
北極海航路の開通期間と2019年9月17日(年間最小日)の海氷分布。㊧北東航路、㊨北西航路

 

 北東航路(ロシア側)の開通は、2018年より10日程早い8月20日で、開通状態は10月21日まで2ヵ月間続いた。今年はこれまでで最も遅い日まで開通した年になった。温暖化の影響で気温だけでなく海水温も上昇し、結氷が遅れたことが要因と指摘している。一方、北西航路では、3年ぶりにカナダ多島海域の海氷が融解し、9月1日に開通が確認できた。同航路の開通期間は9月29日まで約1ヵ月続いた。

 

 アジアから欧州へ航行する場合、北極海航路の航路距離はスエズ運河経由の約 2/3、喜望峰経由の約 1/2 となる。航海を通じて輸送費用だけでなく、CO 2の排出量も削減することができるとしている。

https://jp.weathernews.com/news/30086/