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企業の自家発電、企業グループ内での「越境」融通容易に 経産省方針  小売り販売のカベは緩和せず (各紙)

2012-12-12 15:32:48

自家発電の発電能力は年々、増強されている
自家発電の発電能力は年々、増強されている


各紙の報道によると、経済産業省は企業が工場や子会社などで自家発電した電気を、電力会社の境界を越えてグループ内で融通できるように法改正をする。企業の本支店間だけでなく、子会社や関連会社への供給も認める。ただ、自家発電で余った電力を地域の消費者向けに小売する電力業者への販売等は、電力事業にあたることから解禁は先送りする。


 これまでも、企業は自らの自家発電設備で発電した電気が余った場合、電力会社に頼んで他地域の工場などに送ることができることになっていた。しかし法的な根拠がないことから、電力会社はそうした利用については、様々な条件を付けて、事実上、企業の自家発電をそれぞれの施設内にとどめる扱いにしてきた。しかし昨年の東日本大震災で、東京電力に電力供給余力が急低下する一方で、自家発電設備を持つ企業は被災地周辺の支店、子会社への電力供給需要が高まり、制度的な課題が浮上していた。




 たとえば電力会社の供給区域を越えて電気を炊く域に送ることは原則として認められない。自家発電した会社と供給を受ける会社は同じでなければならず、グループ内企業であっても子会社や関連会社になっている場合は、供給対象外の扱いを受ける。供給先は大容量の送配電線で接続されている大口の需要家に限定する、などの制限がある。




 経産省は、これらの課題を取り除く方針で、越境供給の認定によって、東北地方の工場で生み出した電気を関東地方の工場に送れるようになるほか、一定の資本関係があるグループ企業間での「密接関係性」がある先ならば、供給対象にできることになる。また供給先が大容量の送電線で接続された大口需要家である、という制限も無くす方針だ。




 ただ、電力事業の自由化の促進で、家庭等への小売販売の自由化も予想されているが、そうした新規参入電力事業者への自家発電電力の販売については、従来通り、認めない方針。