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神戸大学、太陽光発電の変換効率50%超を実現する太陽電池構造を開発、1kWh当たり7円台の発電コスト実現も視野に(RIEF)

2017-04-14 12:57:21

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 神戸大学は工学研究科の喜多隆教授らの研究グループが、太陽光発電の太陽光から電力への変換効率を50%以上に引き上げる技術を開発したと発表した。変換効率が50%を超えると、発電コストは大幅に下がり、日本が目標とする2030年の発電コスト7円/kWhの実現が近づくことになる。

 

 研究成果は英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。従来の単接合太陽電池の変換効率は理論限界値で30%前後とされてきた。これは、太陽光の光エネルギーの大半が、太陽電池セルに吸収されずに透過してしまうほか、光子の余剰エネルギーが熱になるなどして利用されないためだ。

 

 研究グループはこの透過損失を抑制するため、2つの半導体の、異なるエネルギーバンド・ギャップを持つ半導体からなるヘテロ界面(異物質間の界面)を利用して、太陽電池を透過するエネネルギーの小さな2つの光子を用い、光電流を生成する太陽電池セル構造を開発した。これによると、変換効率の理論値は63%にまで向上する予測結果が得られたという。

 

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 またこの太陽電池セルの実験実証にも成功した。実証された損失抑制効果は、これまでの方式に比べると、100倍以上にもなるという。今後は、セル構造の最適材料の開発と設計の精度を高め、変換効率の性能の安定化の評価を得て、超高効率の太陽電池としての実用化に向けた開発を薦めていくとしている。

 

 今回の研究は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)高性能・高信頼性太陽電池の発電コスト低減技術開発・革新的新構造太陽電池の開発における超効率・低コストIII‐V化合物太陽電池モジュールの研究開発として実施された。

http://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2017_04_07_02.html