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スコッチウィスキーの本場で、「グリーン・ウィスキー」誕生へ。蒸留所の電源をすべてウィスキー製造後の副産物を使ったバイオガスで発電。来年夏に稼動(RIEF)

2017-12-11 13:26:44

Balmenachキャプチャ

 

  スコッチウィスキーの産地、スコットランドのスペイサイド地域でもっとも古いウィスキー蒸溜所の一つが、「100%グリーン蒸留所」に変身する。ウィスキー蒸留後の副産物を活用してバイオガスを製造、バイオマス発電で蒸留所全体の電力を100%まかなう「グリーン・ウィスキー」を作り出す。グリーン化に300万ポンド(約4億5600万円)を投資、スコットランドで最もグリーンなウィスキー工場に名乗りを上げた。

 

 バイオガス製造設備を導入するのは、Balmenach蒸留所。1824年に設立され、同地域でもっとも古い蒸留所の一つとされている。1977年以来、スコットランドで5つの蒸留所を抱えるInver House Distillers社の傘下に入っている。Balmenachのブランドのウィスキーを製造するほか、スコッチ・ジンのCaorunnも製造している。

 

 ウィスキー等の蒸留後の副産物を嫌気性消化システムを導入し、微生物を活用してクリーンなメタンガスを製造、発電に利用するという。新システムは、現在、使用している木質ペレットを燃料としたバイオマス発電ボイラーに付加する形で設置される予定だ。

 

 バイオガス設備は来年の8月までに完成の予定で、完成すると、蒸留所で使用するすべての電力をまかなうだけでなく、余剰電力も生じるという。余剰分は電力会社に売却する。

 

 親会社のInver House自体、International Beverage Holdingsの傘下にあり、 Old Pulteney、 Balblair、Hankey Bannisterなどのアルコール飲料ブランドを売り出している。

 Inver House の Group managing director、Martin Leonard氏は「われわれはこれまでもスコットランドで先頭に立ってグリーン蒸留所を推進してきた。 持続可能性と環境影響への配慮は、われわれのビジネス戦略の核心だ」と強調している。

 導入されるバイオガス製造設備は、地元グラスゴーの低炭素技術企業のSynergie Environの製品を使う。同社社長のUisdean Fraser氏は「Inver社とは長年の良好なビジネス連携を結んでおり、その成果が今回実ることになる」と語っている。

 グリーンウィスキーを製造することになるBalmenach蒸留所では、年間200万㍑のウィスキーを生産、主にブレンディッドウイスキーの原料として出荷している。