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資料:トランジション(移行)ファイナンス・ガイダンス(TFSG : RIEF)

2020-04-22 17:28:01

TransitionOECDキャプチャ

 

 グリーン&サステナブルファナンス分野の研究者で構成する「トランジションファイナンス研究会(Transition Finance Study Group in Japan : TFSG)は、化石燃料依存、高環境負荷の旧来型の事業・資産・活動を、よりサステナブルな形に転換・移行させるための「移行ファイナンス(トランジションファイナンス)」のガイダンス(中間報告)を作成、公表した。

 

 気候関連財務リスク情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づき、日本でも企業、金融機関の情報開示と移行リスクへの金融面からのファイナンスの重要性が指摘される中で、グローバルベースの規格化、標準化の動きに資することを目的として案を作成した。同案は、グリーンボンド原則(GBP)等を管理する国際資本市場協会(ICMA)に提供される予定。

 

 <移行ファイナンスとは>

・グリーンボンドやグリーンローン等への取り組みが日本でも広がっている。これらは新規あるいはリファイナンスの形で、グリーンプロジェクトへ資金を供給する。これらとは別に、既存のCO2高排出、環境高負荷型の事業・資産・活動を、よりグリーンで、よりサステナブルに転換・移行させるための資金供給を、「移行ファイナンス」という。

 

・グリーンなプロジェクトが増えることは望ましい。だが、現状は多くの国で、化石燃料依存型の事業・資産・活動が経済の大半を占めている。新規のグリーンプロジェクトを増やすことに加えて、既存の旧来型事業(ブラウン・プロジェクト)を早急に転換・移行させないと、気候変動の抑制も、環境改善も十分には進まない。一方で、既存の事業に安易に継続資金を供給するだけだと、旧来型事業の存続を長期化させる可能性もある。そこで、経済全体の移行を金融面から促進するためには、明確で、透明性の高い「移行ファイナンスのルール(目安)」が必要になる。本ガイダンスはそうした目的に資するために整理した。

 

<主なポイント>

・移行ファイナンスの対象になる事業・資産・活動の明確なリストを作成する必要がある。これを「ブラウン・プロジェクト(あるいはブラウン・タクソノミー)」と呼ぶ。

・移行ファイナンスは、移行前の計画段階の評価と、ファイナンス実施後の移行後の実行段階の評価に分かれる。このうち、計画段階では、既存のグリーンボンド等の手順、評価とほぼ同じだが、移行後の評価は、移行ファイナンスに特有のもので、新たなルール化が必要(本ガイダンスで提示)

・移行ファイナンスによる目標との適合性、移行期間中のモニタリング、目標未達の場合の対応等のルールを確保する必要がある。そのため、外部評価機関による評価は、移行前と移行後では別々の機関が担当することが望ましい。

・移行期間については、中間的な目標を定めた、段階的な移行も可能。その場合、中間段階で止まるのではなく、最終目標の設定も必要。

・資金調達者の移行約束を確実にするため、目標未達成の場合の「罰則」として、移行ボンドの発行等の場合は、変動クーポンレートの導入、ローンの場合は金利引き上げ(目標達成の場合は優遇金利)等の「コビナンツ(財務制限条項)」の設定等が考えられる。

 

 ガイダンス案全文は以下からアクセスできます。

      移行ファイナンスガイダンス(日本語版)

  Q&A日本語トランジションファイナンス

 

<ガイダンスへのコメントの募集>

 今回のガイダンスは「中間報告」とする。本案に対して広くコメントを広く求め、それらの意見を考慮したうえで、改めて最終案を作成・公表する。コンサルテーションの締め切りは5月末日。最終報告は、「移行ファイナンスの対象事業(ブラウン・プロジェクト)」のタクソノミー化を含めて、今年後半にまとめる予定。

 

コメントの提出先、および問い合わせは、次のメール宛てにお願いします。

 

 事務局担当:一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)

       <green@rief-jp.org>

 

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