HOME |三井住友フィナンシャルグループ、新規の石炭火力発電向け融資の例外扱いを除外か。現行方針の「原則」規定と、「慎重」規定削除の方向と指摘(各紙) |

三井住友フィナンシャルグループ、新規の石炭火力発電向け融資の例外扱いを除外か。現行方針の「原則」規定と、「慎重」規定削除の方向と指摘(各紙)

2021-03-04 01:43:27

SMBC230cf590b274234b2280aed364240239

 

 各紙の報道によると、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は、現在定めている新規の石炭火力発電事業向けの融資方針について、「原則」しないとの方針から「原則」の表現を削除するほか、経済産業省が高効率として推進する超々臨界圧石炭火力発電事業(USC)向けの融資も実施しない方向に転換することを検討しているという。報道通りの改定が進めば、SMBCは「脱石炭銀行」となる。

 

 日本経済新聞の電子版が伝えた。SMBCは昨年4月に「ESGに関するリスクの考え方」として、①石炭火力発電②水力発電③石油・ガス④炭鉱採掘⑤タバコ製造⑥自然保護地域⑦パーム油農園開発⑧森林伐採⑨クラスター爆弾やその他殺戮兵器の製造、の9分野についての対応策を整理、公開した。https://www.smbc.co.jp/news/j602058_01.html

 

 このうち、最も論点となっている①の石炭火力については、「新規の石炭火力発電所への支援は原則実行しない」とする一方で、USCや改定前からの案件については「慎重に対応を検討する場合がある」として「原則」の枠外とする考えを示していた。今回は、これらの表現から「原則」と「慎重に検討する」とした文言を削除する方向で調整しているという。

 

 SMBC以外の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)も、みずほフィナンシャルグループも、いずれもほとんど同じ表現で、環境NGOらからは、例外の新規融資をカムフラージュするための「原則」に過ぎないと批判を受けてきた。国際的にも日本の3メガバンクは石炭関連融資が突出して多く、先に公表された内外の環境NGOによる世界の石炭関連企業への銀行や機関投資家による投融資状況報告でも、3メガバンクは銀行融資の部門で、上位ワーストスリーを占めた。http://rief-jp.org/ct7/111234

 

 今回のSMBCの方針見直しが最終的にどうなるかは不明だが、政府の「2050年ネットゼロ」方針や、11月に予定される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)等での議論、さらに米国がバイデン政権に代わって、気候変動対策を強化しているといった内外の気候変動問題を取り巻く環境の変化から、「脱石炭」を明確にする方針に転じることを模索しているとみられる。

 

 脱炭素でSMBCが一歩踏み出すと、MUFGも、みずほも追随することが期待される。

 

https://r.nikkei.com/article/DGXZQODF0392X0T00C21A3000000?type=my#AAAUAgAAMA