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日本 国際人権基準に背を向けたまま。ヘイトスピーチ法規制に後ろ向きな安部政権を強く批判(Amnesty)

2015-02-25 10:57:19

Amnesty
Amnesty国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは25日、「世界の人権問題(国・地域)」の報告書を公表した。その中で、日本については、在日コリアンに対する「ヘイトスピーチ」(憎悪表現)を野放しにし、旧日本軍の従軍慰安婦問題の解決に力を注がない安部政権の姿勢を強く批判した。

 

日本政府の対応は、「国際的な人権基準から乖離し続けている」と指摘した。

 

http://www.47news.jp/CN/201502/CN2015022501000905.html

 

(日本に関する報告書の主な内容は以下の通り:日本のアムネスティのサイトから)

<人権をめぐる、2014年の動き>

日本は、国際人権基準に背を向けたままであった。政府は、韓国・朝鮮人など外国籍住民に対する具体的な差別対策を講じなかった。また、第二次世界大戦中の日本軍性奴隷制度を否定する言動に反論しなかった。難民認定者数は、きわめて低いままだった。12月に特定秘密保護法が施行され、情報の透明性が懸念された。

 

人種差別


 

政府は、在日韓国・朝鮮人に対する人種差別・侮蔑用語や嫌がらせを批判しなかった。韓国・朝鮮人が多く住む地域では、デモが行われた。大阪高等裁判所は7月、高圧的な団体「在日特権を許さない市民の会」に対して、学校周辺での街宣活動の禁止を命じた。高裁の判断は、名誉毀損や器物破損などではなく、人種差別撤廃条約に基づく人種差別行為に当たるというもので、人種差別とする判断は初めてだった。しかし、年末になっても政府は、国際人権基準に沿った、差別・敵意または暴力の扇動となる憎悪の唱道を禁止する法案を可決していなかった。

 

司法制度


 

警察が容疑者を最長23日間拘禁できる代用監獄制度が、取調べで自白を引き出すための拷問や虐待を助長した。国際機関からの勧告にもかかわらず、代用監獄制度の廃止または国際人権基準に沿った制度への改革は一向に進まなかった。

 

女性と少女に対する暴力


 

政府には、歴史的な意味を持つ河野談話を見直す動きがあった。河野談話では約20年前、日本軍性奴隷制度の被害者に対して、責任の所在を認め謝罪を表明した。政府が設置した検証チームは6月、河野談話の作成過程に関する報告書を公表した。当時の談話内容や決断は尊重されたものの、見直し自体が政府の責任回避と見なされ、韓国など隣国との緊張が高まった。性奴隷制度を否定あるいは正当化する著名人・政治家も現れた。政府は、いまだ「性奴隷」という表現を公式に使用せず、生存する被害者に対する十分な補償の提供を拒否し続けた。

 

死刑


 

死刑の執行は続いた。袴田巌さん事件を裁いた静岡地方裁判所は3月、再審開始決定を出し身柄を直ちに釈放するよう命じた。袴田さんは、強要された自白に基づく不公正な裁判を経て、1968年に死刑判決を受けた。世界で最も長く拘禁された死刑確定者だった。40年以上も独房に拘置されたため精神疾患を患っていた。再審開始決定を不服とする検察は、東京高等裁判所に即時抗告した。

 

庇護希望者および難民


 

日本に対する難民申請数は4,500件と推定されるが、難民条約に基づく難民認定者数は今年もわずかな人数に留まった。2006年以降、難民申請数は確実に増加している。ビルマ(ミャンマー)からの申請は減少し、ガーナ、カメルーンなどからの申請が増加した。

 

表現の自由


 

2014年12月に、特定秘密保護法が施行された。政府は、防衛、外交、特定有害活動、テロの4分野における情報で、漏洩すると国の安全保障に著しく支障を与える恐れがある場合、特定秘密として指定できるようになった。しかし、特定秘密の定義が曖昧な上、情報監視審査会が政府に対して行う勧告には法的拘束力がないため、行政機関が秘匿する情報へのアクセスが制限され、情報の透明性が損なわれる恐れが残った。

(アムネスティ・レポート 2014より)

 

http://www.amnesty.or.jp/human-rights/region/asia/japan/