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南極半島で巨大なラーセン棚氷から、東京都の2.7倍の氷塊が分離し海洋に流出した件で、英南極研究所が最新映像を公開(RIEF)

2017-07-18 00:24:08

 

  南極で、巨大なラーセンC棚氷から、東京都の2.7倍もの表面積を持つ氷塊が分離され、海洋に流出したが、その最新映像が英国南極研究所(British Antarctic Survey :BAS)によって公開された。Larsen C棚氷から切り離された氷塊は、海上に約30mの高さで、海中には約190mの厚みを抱えて浮かんでいる。

 

 南極の棚氷や氷河を研究する科学者にとって、棚氷からの氷塊の分離自体は、異例のことではない。ラーセンC棚氷は、6000 km²以上の広大な表面積を持ち、今回分離したのは、その10%以上に相当する過去最大級とされる氷塊だ。http://rief-jp.org/ct12/71257?ctid=70

 

 科学者たちが関心を集めているのは、氷塊分離後の残りの棚氷がどう安定するか、背後の氷河の動きに影響があるか、といった点だ。BASは英スワンジー大学の調査団とともに、170kmに及んだ棚氷の亀裂を欧州宇宙機構(ESA)の衛星、Copernicus Sentinel-1 satellitesでモニタリングを続けてきた。

 

larsenC8キャプチャ

 

 BASのリモートセンシング分析官のAndrew Fleming氏は「事態はこれからが興味深い。ラーセンCの残りの棚氷が、氷塊分離でどのような影響を受けるか、さらに氷塊が流出した後にどのような生態系が築かれるか」と、指摘している。

 

 また同じくBASの氷河学者の David Vaughan教授は「過去に同じような氷塊の分離を起こしたラーセンA(1995年)、B(2002年)では、いずれも後背の氷河の流出が劇的に加速し、大量の氷塊が海洋に流出、海面上昇につながった。ラーセンCでも同様のことが起きると、さらなる海面上昇につながる可能性がある」と述べている。

 

larasenC9キャプチャ

 

 これまでの観測によると、ラーセンC棚氷は、1998~2012年の15年間に、平均4mの氷の厚みを失っているという。特に表面については平均1mほど低くなっている。棚氷は表面と底部の両方で、薄くなっており、  その原因は、大気と海洋の温度上昇にあるとみられている。

 

  Vaughan教授は「気候変動が南極のある部分で棚氷の消失に影響を与えていることは間違いない。南極大陸全体への温暖化の影響については、明確な兆候はみられないが、南極半島については特に20世紀後半を通じて温暖化の影響を観測している」と認めている。

https://www.bas.ac.uk/media-post/huge-antarctic-iceberg-finally-breaks-free/