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太陽光・風力で投資信託創設へ 売電収入を配当に (各紙)

2012-06-25 07:46:08

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各紙の報道によると、政府は太陽光や風力などでつくった電力の売電収入を配当の原資とする「太陽光・風力投信」を創設する検討に入った。7月から再生可能エネルギーを使って発電した電気を電力会社が固定価格で買い取る制度が始まり、安定した投資先として需要が見込めると判断した。投資家から集めた資金を発電設備などの費用に回し、普及を促す。

国土交通省、金融庁、林野庁と東京証券取引所などが近く制度設計の具体的な検討に入る。オフィスビルなどの賃料収入を配当の原資にする不動産投資信託(REIT)に沿った仕組みを想定している。2013年度中に東証に上場することを目指す。その後は個人を含む一般の投資家が売買できるようになる。

7月1日から始まる新制度により太陽光は42円(1キロワット時)、風力は23~57円(同)と再生可能エネルギーでつくった電気を決められた価格で電力会社が全量買い取る。「好不況で賃料収入が大きく増減する不動産投信よりも安定した収入が期待できる」(政府関係者)という。

実現には、投信の組み入れ資産に売電収入を加えるなど関連の法整備が要る見通しだ。投信をつくる会社や組合を設立。風力発電の施設の計画がある地域で、地元企業の出資や補助金で足りない費用を賄うため、小口の証券として投資家に売るような例を見込む。

固定価格の買い取りで事業基盤は安定するが、発電は日照時間や風量など読みにくい面もある。このため発電する地域を分散したり、地熱など他の発電を組み合わせたりして、収入を確実に得やすい投信や証券化の仕組みを検討する。

太陽光などの再生可能エネルギー(ダムによる大水力発電は除く)による発電量は現在、すべて合わせても総発電量の約1%にとどまる。政府は再生可能エネルギーを火力や原子力の発電への依存度を下げる切り札と位置付け、中長期的に比率を15~25%まで高める目標を掲げている。

風力発電などは資金調達が難題だった。投信の仕組みを使えば機動的に資金を集められる。運用や販売で法律に沿った規制がかかり、投資家にとって安全性が高まる。金融庁は投資先の多様化、林野庁などは地域振興も期待している。