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ヒラリー・クリントン氏。環境意識の高いカリフォルニア州での予備選を前に、米国有地での大規模再エネ開発推進を宣言。10年間で10倍の再エネ発電。保全と開発を峻別(RIEF)

2016-06-03 01:54:40

hiralyキャプチャ

 

 米民主党の大統領選の有力候補、ヒラリー・クリントン氏は、来週のカリフォルニア州での予備選を前に、気候変動対策として、米国の連邦政府所有の公有地や沿岸部の海面を活用し、大規模な再エネ開発の展開を公約した。今後10年以内に、再エネ発電を現行より10倍に増やすという。

 

 再エネ発電の拡大によって、数百万の新たな雇用を創出できるうえ、経済にも7000億㌦(77兆円)の経済効果を生み出す、と推計している。

 

 クリントン氏の提案は、カリフォルニア州の地元紙、サンホセ・マーキュリー・ニュースに寄稿の形で掲載された。環境問題への関心の高いカリフォルニア州の予備選で、対立候補のサンダース議員を一気に引き離すために、「私こそが環境のプロ」をアピールする内容になっている。

 

 カリフォルニア州は、温暖化の影響の一つである干害の影響を常に受けている。最近では森林火災の被害も拡大している。州政府は全米でも歴史的に最も厳しい環境規制をとってきたことで知られる。温暖化対策でも、連邦政府より厳しい自動車の排ガス規制や、独自の排出権取引制度を導入している。

 

 クリントン氏の公約によると、連邦所有の公有地のうち、環境や歴史的配慮で保全が必要なところを除外し、それ以外の地域には風力、太陽光、地熱の各再生可能エネルギー発電を積極的に建設する。また沿岸部を利用した洋上風力発電の拡大もあげ、合計の再エネ発電量を、今後10年間で、現行の10倍に引き上げるとしている。

 

 クリントン氏は「気候変動に対処するため、米国をクリーンエネルギーの『スーパーパワー』として築き上げねばならない。そのために、われわれの国土に、われわれが必要とする資源を解き放つ新たな重要な役割を演じてもらう」と述べた。

 

 米国の公有地は長年にわたって、石油・ガス、石炭などの豊富な化石燃料の生産に活用されてきた。今もシェールガスの開発が進んでいる。これに対して、オバマ政権は再エネ発電に優先的に活用する方針をとってきた。広大な国土は、大規模な風力発電にも同じく太陽光発電にも適しているためだ。

 

 オバマ大統領の方針を受けて、内務省は多くの再エネプロジェクトへの公有地の使用に許可を与えてきた。大統領候補のクリントン氏は、こうしたオバマ政権の路線を継承するだけでなく、さらに強化するとの公約を示すことで、カリフォルニア州の有権者に訴えた形だ。

 

 国土の保全サイドは、従来からの国立公園や歴史的重要地域の厳格な保全に加えて、気候変動の影響から国立公園などの国有地を保全するためのトラストファンドの設立も提案した。

 

http://thehill.com/policy/energy-environment/281857-clinton-aims-to-boost-clean-energy-on-federal-land?utm_source=Inside+Climate+News&utm_campaign=7d864fe9d4-Clean_Economy_Wire12_10_2014&utm_medium=email&utm_term=0_29c928ffb5-7d864fe9d4-327781481