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トランプ氏 温暖化問題で柔軟姿勢。「パリ協定離脱」に言及せず。ニューヨークタイムズ紙との会見、ビデオメッセージでも(RIEF)

2016-11-23 13:46:23

 トランプ次期米大統領は22日、ニューヨークタイムズ本社を訪れ、同社のインタビューに応じた。この中で、大統領選挙期間中に対立候補のヒラリー・クリントン氏をメール問題で訴追するとしていた主張を撤回するなど、いくつかの強硬論を修正、地球温暖化問題のパリ協定からの離脱についても「先入観なく対応したい」と、柔軟な姿勢を示した。

 

 トランプ氏は、前日、ユーチューブで「就任後100日間での優先事項」を語るビデオを公開した。その中でも、温暖化問題については触れていない。

 ただ、エネルギー問題については「雇用創出の妨げとなっている規制を撤廃する。例えばシェールガス、環境負荷の少ない石炭などの分野で実施する」と指摘。オバマ大統領が石炭火力発電所のCO2規制策として打ち出したクリーンパワープラン(CPP)の撤回を目指す姿勢を示唆している。

 

 トランプ氏は、大統領選挙期間中、地球温暖化問題について「hoax(でっち上げ)」と批判。大統領に就任すると、パリ協定から離脱する、と明言していた。しかし、この日のニューヨークタイムズ紙との会見では「I have a totally open mind(先入観は持っていない)」と述べ、従来主張した温暖化懐疑論と一線を置くスタンスを示した。

ニューヨークタイムズ社での会見の模様(右となりはNYT紙の発行人、Arthur O. Sulzberger Jr)
ニューヨークタイムズ社での会見の模様(右となりはNYT紙の発行人、Arthur O. Sulzberger Jr氏)

   トランプ氏は、「きれいな空気や水を尊重する」とも述べたが、温暖化問題をその尊重対象としているかどうかについては、詳細には語らなかった。

 トランプ氏の温暖化問題のスタンスは、実はそれほど確固たるものではないともいえる。2008年のオバマ氏の1期目の時には大統領の温暖化対策を支持する新聞署名に名を連ねたこともあるという。同氏は、目立つことと、勝ち馬に乗ることにかけては、人後に落ちないしたたかさの持ち主であり、温暖化対策がビジネスになるとわかると、変身するのも不思議ではない。

 ただ、共和党には温暖化懐疑論者が多く、同党の有力ロビイストにも化石燃料産業の大物が関与している。このため、トランプ氏が温暖化問題に言及しなかったからといって、オバマ大統領の路線をそのまま踏襲すると考えるのも早計だろう。http://rief-jp.org/blog/65665?ctid=33

 しかし、ビデオでの「100日計画」でも温暖化問題については、言及していないことから、少なくも「パリ協定離脱」がトランプ政権にとっての優先事項に位置付けられてないことは、現時点では間違いないようだ。