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2040年の英国のガソリン・ディーゼル車販売禁止規制の対象に、ハイブリッド車を含めるかで、英政府内で閣僚同士の対立が判明。排出ゼロの理想か、現実的対応か(RIEF)

2018-05-06 11:35:31

EV1キャプチャ

 

  英政府は2040年までにガソリン車、ディーゼル車の新車販売を禁止する政策を打ち出しているが、その対象にハイブリッド車(HV)を含めるかどうかで、政府内で閣僚同士の対立が起きていることが分かった。HVが販売停止対象になると、トヨタ自動車のプリウスも販売できないことになる。

 

 英政府は2017年7月に、フランスに続いて温暖化対策のためにガソリン車やディーゼル車の新車販売を2040年に停止する方針を打ち出した。ただ、その時点ではHVを対象に含めるかどうかは明確にしていなかった。http://rief-jp.org/ct4/71545

http://rief-jp.org/ct4/71117

 

 現在、政府内では環境担当相のMichael Gove氏とビジネス担当相の Greg Clark氏が、HVも販売規制の対象にする方針を主張、運輸担当相のChris Graylingが反対しているという。HVは補助エンジンと蓄電池を併用することで、ガソリン車などよりも燃費効率がいいうえに、車の価格等もEVより安いことが消費者にとっての魅力になっている。

 

 しかし、英政府が目指さす「Road to Zero」政策では、HVはCO2排出量が完全にはゼロではないことから、環境政策を最優先する環境相などは、対象外にしたい考え。これに対して、運輸省のスポークスマンは「2040年までに英国内でHVを規制するという計画は車のカテゴリー的には間違っている」と指摘している。

 

 政府内での議論対立が報道されことを受け、英自動車業界は猛反発している。英自動車製造販売協会のMike Hawes氏は「HVを規制対象に含めるのは、非現実的な目標であり、消費者を混乱させる。自動車関連産業の雇用にも悪影響を与える。こんな政策は、現実的にも、実質的にもあり得ない」と指摘している。

 

 英国内の新車市場では98%はガソリン車とディーゼル車、それにHVで占められている。2017年のHVの販売は7万2523台、EVは1万3597台、プラグインHV(PHV)3万3666台。消費者はHVを選んでいるといえる。

 

 英Aston大学の自動車専門の David Bailey教授は「100%EVの自動車へのスィッチは2020年代になってようやく始動し始める。それまでは極力早くガソリン車などからHVに移行し、その後に、EVにバトンタッチするべきだ」と二段階方式を提案している。

 

https://www.theguardian.com/environment/2018/may/04/michael-gove-leading-plan-to-ban-sale-of-new-hybrid-cars-from-2040