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日本の投資信託のESG投資純資産総額38兆1795億円。投信の本数にして2034本。投資信託協会が公表(RIEF)

2019-01-23 00:52:21

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 投資信託協会(東京)は、我が国の資産運用会社52社を対象としたアンケートで、日本の投資信託のESG投資を本数ベースで2034本、純資産総額で38兆1795億円との推計結果を公表した。もっとも多かったのは、投資先企業のESG課題を、株主としての議決権行使等により企業に働きかける「エンゲージメントと議決権行使」で26兆2966億円(1590本)となっている。

 

 アンケートは、各投信などが運用する公募、私募の両ファンドが運用方針にESG評価を取り入れているかどうかを問うた。ESG評価の手法として、サステナブル投資普及を進める国際NGOであるGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)が分類した7つの投資手法の採用状況を分類した。

 

 その結果、投資手法としては最大だった「エンゲージメントと議決権行使」に次いで、投資マネジャーが財務分析にESGの要素を体系的・明示的に組み込む「ESGインテグレーション投資」が純資産総額(ファンド本数)は20兆9329億円(1236本)で、二番目に多かった。

 

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 その他では、石炭やタバコなどの投資非適格先を除外する「ネガティブスクリーニング」が14兆2821億円(894本)、ESGの国際規範(OECD、ILO等)に違反した企業を投資先から除外する「規範に基づくスクリーニング」が8兆9777億円(732本)などとなっている。

 

 ESG投資の推計では、NGOのJ-SIFが同じGSIAの手法を用いて、機関投資家48社へのアンケートで、231 兆 9522 億 5000 万円、という推計値を公表している。J-SIFの対象企業には、資産運用会社だけでなく、年金や保険会社も入っていることから、総額が膨らんだとみられる。

 

 J-SIFのアンケートでも、もっとも多い投資手法は、エンゲージメントで140兆7545億円、議決権行使については別に分類し、132兆347億円としている。

 

 GSIAが分類する投資手法で、もっとも多いエンゲージメントや議決権行使は、株主となる投資家としては、もっとも取り組み易い手法でもある。議決権行使や投資先企業の経営との対話等は、投資家の本来の行動でもあるためだ。

 

 ただ、ネガティブスクリーニングやテーマ型投資のように、投資先を選別する手法と比べると、ESG的な議決権行使やエンゲージメントが、当該の企業に受け入れられなくても、投資を継続することが前提となるから、「ESG効果」としては、緩いと言わざるを得ない。

 

 多様なESG投資手法の評価に際しては、すべてを足し合わせて総額の大きさをアピールするよりも、ESG効果をより多く引き出せる投資手法かどうかを明確にして比較する必要がある。

http://www.toushin.or.jp/topics/2019/19247/

http://japansif.com/181227.pdf