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ルクセンブルク 官民連携で、気候変動投資ファンドの新規組成、上場促進の支援機構(CCA)立ち上げ。金融安定理事会TCFD報告に即応(RIEF)

2017-07-09 00:52:47

LGXキャプチャ

 

 ルクセンブルクは気候変動対策向けの投資を促進するため、官民連携で気候変動投資ファンドを支援する「Climate Change Accelerator(CCA)」を立ち上げた。同国の証券取引所(LuSE)へのファンド上場を促すため、金融面、運用面での多様な支援を提供することを目指す。

 

 環境大臣の Carole Dieschbourg氏と、金融大臣の Pierre Gramegna氏が、共同発表した。CCAは気候変動対策に効果的なグリーンプロジェクトへの革新的な資産運用投資を目指す資産運用企業へ、投資資金を供給する機関投資家や公的機関等の仲介支援や、ファンドを立ち上げる際の金融面、運用面での支援等を実施するという。

 

 ルクセンブルクの両省に加えて、民間からは同国の法律事務所 Arendt & Medernach、Elvinger Hoss Prussen、コンサルタントのInnpact、監査法人の Deloitte、  EY、KPMG、PwC、それに Luxembourg Microfinance and Development Fund(LMDF)などが参画する。

 

 CCAの基本的スタンスは、先に金融安定理事会(FSB)の気候関連情報情報財務開示タスクフォース(TCFD)が公表した最終報告の枠組みを踏まえるという。

 

 LuSEには、欧州で運営されるインパクト投資の60%以上が上場されている。気候変動ファイナンスの分野でも、パリ協定を定めたCOP21 以来、欧州投資銀行(EIB)とルクセンブルクの気候投資プラットフォームの共同設立、世界初のグリーン金融商品専門の上場市場である Luxembourg Green Exchange(LGX)の設立、グリーンボンドラベルの認定(LuxFLAG)など、気候関連の金融インフラ整備を展開している。今回のCCAもその一つになる。

 

 CCAの支援を活用することで、気候関連分野を対象として新たに投資ファンドを立ち上げる資産運用機関等は、対象とするグリーン投資の金融的評価などを容易に手にできる。対象プロジェクトは先進国に限らず、途上国案件も含める。FSBのTCFD報告では、気候関連事業や資産のリスク・オポチュニティ両面の財務的評価の推進を提言しており、その実践の場を提供する形となる。



 Gramegna金融相は「CCAの立ち上げは、ルクセンブルクのグリーン金融を発展させる新たなマイルストーンといえる。気候変動の領域での金融センターとしてのルクセンブルクのパイオニアとしての役割を強調するものでもある」と評価している。

 

 Dieschbourg環境相も「グリーンファイナンス市場での長年の経験と役割を踏まえ、ルクセンブルクはこの成長市場でのリーダーとしての役割を果たすことができるだろう」と述べている。

 

 環境相と金融相が、グリーン金融市場の強化で歩調を合わせ、民間の知恵も借りる連携は、日本でもぜひ、実現してもらいたい姿でもある。