英官民連携のグリーンファイナンス機関(GFI)のCEOに就任したライアン・マリー・トーマスさんは、英金融界のグリーンファイナンスのエース級(RIEF)
2019-07-08 08:00:08
英国が官民連携で設立したグリーンファイナンス機関(Green Finance Institute : GFI)の初代CEOに就任したライアン・マリー・トーマス(Rhian-Mari Thomas)さんは、バークレイズ銀行のグリーンファイナンス部門のエースとして活躍してきた。伝統のシティ・オブ・ロンドン(ロンドンの金融街シティ)がグローバルなグリーンファイナンスセンターに脱皮する役割を担うことになる。
(写真は、GFIの発足に伴いスピーチを行うライアンさん)
ライアンさんは、その重責を担うにふさわしいキャリアを持つ。バークレイズ銀行に入行18年で、グリーンバンキング部門のグローバル責任者であり、同グループの「Barclays Green Banking Council」の創設者兼議長を兼ねている。
役職上の重責だけではない。実務面では、英国内のグリーン資産だけを資金使途とする英国初のグリーンボンド発行を取り仕切ったほか、英大手銀行として初のグリーン・モーゲージ(住宅ローン)も手掛けた。
対外的活動も活発だ。金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)や、英政府のグリーンファイナンスタスクフォースの委員を務める。シティでもグリーンファイナンスイニシアティブ、イニシアティブ・フィンテックタスクフォース等に所属。 国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブ(FI)の運営委員にも加わっている。
英ウェールズのカーディフの出身。流ちょうなウェールズ語を話す。大学はアイルランドのダブリン大学(トリニティ・カレッジ)卒で物理学で博士号を取得したという理系女子だ。ただ、バークレイズに入行した際、「投資銀行と郵便局の区別がつかなかった」と明かす。
ビジネス上のキャリア以外のプライベート情報はほとんど公開されていないが、英フィナンシャルタイムズが選出した「Outstanding Top 30 Global Executive LGBT Allies list」に、2016、17の両年連続して選ばれている。人種や男女などのダイバーシティ課題への取り組みにも熱心で、バークレイズの2014/15年「Barclays Woman of the Year Award 」を得ている。
シティ期待のGFIのCEOとしての最初の挨拶に立ったライアンさん。冒頭に、銀行に入行した際に猛勉強した当時の「金融ノート」を引き合いに出してこう語った。
「当時の私のノートには、『金融市場の役割は資本を提供し、借り手と貸し手をマッチングさせる』と記していた。これは今もそうだが、今やこれだけではないと思っている。金融市場の役割には『社会のニーズに合う方向に資本の動きを促す』点もある」
さらに理系女子として、「科学は明白。われわれは、レジリエントで低炭素な経済を築くために迅速に行動しなければならない」と強調した。
ライアンさんが率いるGFIが、Bregit 後のシティ、さらに低炭素経済社会へ移行する中で、歴史あるシティが「グリーン・シティ」として世界の金融界をリードできるかどうか。ライアンさんにカジ取りを委ねた英金融界の期待は大きい。
https://www.gfi.green/news/dr-rhian-mari-thomas-introduces-the-green-finance-institute/