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ニュージーランド、2050年に温暖化がス排出量ネットゼロ目標を法制化へ。ただし、「家畜のゲップから出るメタン」は別扱い(RIEF)

2019-05-13 18:49:11

hituji1キャプチャ

 

 ニュージーランドは2050年までにCO2などの温室効果ガス(GHG)排出量をゼロにすると同時に、牛やヒツジなどの家畜が主排出源となるメタンについては、農業対策として別扱いとする法案を提出した。同国のGHG排出量のほぼ半分は畜産・農業部門から発生、特に牛やヒツジの“ゲップ”からのメタン排出が最大の課題とされている。「メタン別扱い」については、賛否が分かれる。

 

 GHGゼロ目標とは別に設定するメタン排出規制では、2050年までに24~47%(2017年比)の削減を提案している。メタンの別扱いは、同国の主要産業である農業部門への配慮措置だ。ジャシンダ・アーデン首相の現政権は、与党の労働党と、NZファースト、緑の党で構成する連立政権。政権内の「実務的なコンセンサス」(アーデン首相)として、メタン別扱いを決めた。

 

 さらに、英国の気候変動法をモデルに、独立した気候変動委員会が5年ごとに「カーボン排出量バジェット」を評価する仕組みを導入する。メタン削減量に幅を持たせているのは、5年後とのバジェットで目標を調整するためとみられる。

 

アーデン首相。(謝っているわけではないようですが)
アーデン首相。(謝っているわけではないようですが)

 

 GHGのうち温暖化に影響を及ぼす効果を示す地球温暖化係数(GWP)では、メタンはCO2より25倍の効果があるとされる。ただ、大気中での残存期間は12年とされ、代替フロン等より寿命は短い。このため、メタンの「温暖化効果」は短期的とされる。昨年の国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)はCO2排出量は2050年までにネット・ゼロにする必要があると指摘する一方で、メタンについては少なくとも35%削減を提唱している。

 

 今回の「メタン別扱い」目標の設定は、IPCCの報告等も踏まえた形だ。ただ、農業団体ロビーの支援を受けている野党の中道右派・国民党は、「メタンの削減目標は性急過ぎる。ニュージーランドは持続可能な農業生産のグローバルリーダーであるが、政府の目標は信頼できる科学的提言の範囲を超えている」と批判している。

 

 一方、環境NGOのグリーンピース・ニュージーランドのRussel Norman 氏は「メタン削減に関する『野心(Ambition)』を欠いており、(目標は)薄められた。また明確な実行の方策もない」と懸念を示している。

 

 同国は人口500万人だが、家畜は1000万頭の牛と、2800万頭の羊と、人間よりもはるかに多い。牛も羊も反芻動物で、餌を食べながら反芻する際に、ゲップを繰り返す。その消化途上のゲップ中にメタンが含まれる。

https://www.climatechangenews.com/2019/05/08/new-zealand-introduces-zero-carbon-bill-concession-farmers/