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三井住友フィナンシャルグループ、「気候変動方針」を改定・強化。石炭火力向け投融資の2040年度残高ゼロ対象に設備紐付きコーポレートファイナンスも(RIEF)

2022-05-16 15:51:47

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 三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は、「気候変動に対する取り組み(気候変動方針)」を改定強化した。気候変動悪化の原因となっている石炭火力発電への投融資について、従来のプロジェクトファイナンスの残高ゼロ目標に加えて、「設備紐付きのコーポレートファイナンス」も2040年度までに残高ゼロとする目標を追加した。また電力業界向けの投融資ポートフォリオに占める温室効果ガス排出量(GHG)の中間削減目標を設定、役員報酬へのESG評価の連動を単年度行政連動報酬に拡大するなどの措置を取り入れた。

 

 SMBCは、環境NGOらから気候変動対策の強化を求める株主提案を受けているが、「経営方針の一部としてすでに取り組みを推進している」として、同提案に反対する姿勢も明らかにした。

 

 SMBCが改定した「気候変動方針」では、石炭火力向け融資残高削減について、プロジェクトファイナンス(2020年度で約3000億円)対象を2030年度までに半減、2040年度までにゼロという現行の目標に加えて、設備紐付きコーポレートファイナンス(約800億円)も40年度までに残高ゼロとする目標を新たに設定した。

 

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 石炭採掘事業の新規および拡張案件への投融資は行わないことも明記した。座礁資産化リスクや、炭鉱での違法労働・児童労働撤廃のための人権問題、採掘に伴う生物多様性への配慮などを理由としてあげている。

 

 新たに設定した電力セクター向けGHG排出量の中期削減目標では、投融資に占めるGHG排出炭素強度を、現行の332gCO2e/kWhから30年度に138~195gCO2e/kWhに削減する目標を示した。このうち138gCO2eはパリ協定の1.5℃目標と整合し、195gCO2eは同協定の2℃目標を大幅に下回ると説明している。

 

電力セクター向けGHG排出量の中期削減目標
電力セクター向けGHG排出量の中期削減目標

 

 エネルギーセクター(石油、ガス、石炭)全体の現状のGHG排出量(絶対量)についても87.6MtCO2eと公表。8月に公表するTCFDレポートにおいて、同排出量の削減目標を示すとした。87.6MtCO2eは、日本の一般家庭約3042万世帯のCO2排出量に相当する。

 

 SMBCの改定取り組みに対して、環境NGOの350.org Japanは、「今回の方針改定による一定の前進は、これまでの対話や株主提案を受けて行われたもので歓迎する。しかし、新方針でも未だにパリ協定の目標と整合しているとは見なされず、海外の同業他社と比べても遅れをとっている」(シニア・キャンペーナー、渡辺瑛莉氏)と指摘している

 

 SMBCが改定を強調する石炭火力投融資にコーポレートファイナンスを加えた点についても、①2040年度の残高ゼロは、OECD諸国に求められる2030年度の残高ゼロ、世界全体で2040年度ゼロが必要との知見に比べ遅い目標設定②CCSやアンモニア・水素混焼等の未実現の技術利用が前提で、石炭火力の延命につながりかねない③石炭火力関連投融資として公表した約8100億円のうち、今回の対策に該当しない約4300億円の削減目標が示されていないー-等をあげている。

 

 350.org Japanは、豪マーケット・フォースや気候ネットワーク(KIKO)等の5団体とともに、SMBCに対して株主提案を実施している。同社の定款に「2050年ネットゼロ」目標達成の誓約と、現状の投融資行動が一貫性を欠かないための「グリーンウォッシュ」抑制策の記載を求める等の内容だ。https://rief-jp.org/ct1/124268?ctid=67

https://www.smfg.co.jp/news/

https://www.smfg.co.jp/news/pdf/j20220513_04.pdf

国際環境NGO 350 Japan 【プレスリリース】国内外の環境NGOが国内4企業に株主提案〜日本企業は過去最多の気候変動関連株主提案に直面〜 | 国際環境NGO 350 Japan