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三井住友トラストホールディングス。投融資先の高炭素集約産業のうち、石油・ガスセクターの「中間削減目標」設定。13~31%削減(2020年比)を促す。エンゲージメント等強化(RIEF)

2023-02-03 15:25:42

SumitomoMitsuiキャプチャ

 

 三井住友トラストホールディングスは2日、傘下の三井住友信託銀行等による投融資先の高炭素集約産業分野のうち、石油・ガスセクターの温室効果ガス(GHG)排出量の中間削減目標を設定した。両セクターについてパリ協定の「1.5℃目標」と整合する2030年の削減目標として、13~31%削減(2020年基準年)とした。今後、両セクターへの投融資に際しては、同目標を満たすかどうかを投融資判断(finaned emissions)の基準とする。同社はこれまで電力セクターについても中間削減目標を設定しており、それに次ぐ目標設定になる。

 

 高炭素集約産業向けの目標設定は、国連が主導する「ネットゼロ銀行連合(NZBA)」が署名銀行に対して、投融資に際しGHG排出量に配慮すべき高炭素集約型セクターの削減目標を設定しており、それを受けた形で設定した。NZBAは9セクターを設定している。三井住友トラストは今回、このうち「石油・ガス」セクターを選んで、中間削減目標を示した。目標はGHG排出量の絶対排出量とする。

 

 目標のうち「13%削減」は、国際エネルギー機関(IEA)のネットゼロシナリオに基づき、パリ協定の「2℃を十分下回る水準」に相当するものとし、「31%削減」は「1.5℃目標」に相当するとしている。両セクターの排出量は、バリューチェーンの上流(探鉱、開発、生産)部門とし、対象となるGHGはScope1~3をカバーする。

 

 これらのセクターへの投融資活動としては、グループ傘下の 三井住友信託銀行、タイ三井住友信託銀行、三井住友トラスト・パナソニックファイナンスの与信取引を対象とする。投融資の範囲は、貸出、支払承諾、社債、政策保有株式(コミットメント未使用額を含む)とする。対象投融資の81%をカバーする。

 

 同社では今回設定した中間削減目標の達成のために、両セクター企業のほか、石油・ガスを需要する顧客も含めて、GHG削減のためのエンゲージメント活動を展開するほか、技術革新への支援等も実施する。これらの取り組みを通じて、両セクターが低炭素・脱炭素に移行することを奨励するため、「多彩なトランジション支援ソリューションを提供する」としている。

 

 また両セクターが販売するエネルギー製品を活用する他の産業セクターや、オフィス/住宅などの広範にわたる需要サイドに対しても、脱炭素社会の実現に向けたトランジションを促すことで、 バリューチェーン全体でのGHG排出量削減に貢献する、としている。

 

 NZAMは高炭素集約産業として、農業、アルミニウム、セメント、石炭、商業・住宅用不動産、鉄鋼、石油・ガス、発電、輸送の9セクターをリストアップしている。同行は発電(電力)については昨年10月に設定している。

https://www.smth.jp/-/media/th/news/2023/230202.pdf

https://www.smth.jp/-/media/th/news/2023/Project_NetZero.pdf