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みずほフィナンシャルグループ。アジアの石炭火力発電所の早期閉鎖に必要資金を融資する「トランジションファイナンス」に取り組み。再エネ事業等への転換を条件に(RIEF)

2024-05-21 17:55:47

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 各紙の報道によると、みずほフィナンシャルグループは東南アジアなどでの石炭火力発電所を早期閉鎖する「トランジション」に必要な資金を事業者に融資する。早期閉鎖をスムーズに進行させるうえで必要な外部資金の返済、出資者への想定配当の一括払い等を融資の資金使途とするほか、再エネ事業等への転換を条件にする。アジアの石炭火力発電は操業期間が比較的若い発電所が多く、早期閉鎖は容易でないとされる。みずほは、石炭火力の早期閉鎖のための新規融資を認めることで、CO2削減を促進し、事業者の再エネ発電等への転換を後押しする考えのようだ。

 

 日本経済新聞が伝えた。国連支援で構成される銀行のネットゼロ同盟(GFANZ)のAPACネットワークは昨年末に「アジア太平洋地域における石炭火力発電所のマネージド・フェーズアウト(MPO)に向けた資金供給|と題する報告書を公表している。みずほも同ネットワークに加盟しており、今回の方針は、同報告に沿った実践活動ということになる。

 


 アジア各国の石炭火力発電所の平均操業期間は15年前後で、欧州(47年)、米国(46年)に比べて若い。その分、残存期間が長く、排出し続けることになる。また同地域では、経済活動が活発で、エネルギー需要が旺盛なこともあり、脱炭素のために既存石炭火力の燃料転換や閉鎖等の措置を取りにくい状況にある。

 

 こうしたアジアの火力発電事業は、電力会社による運営のほか、民間企業や投資家による合同会社などが外部資金を調達して建設した事業も多い。そうした火力発電所を早期閉鎖する場合、現在抱えている調達資金の返済や、出資者への想定配当等を一括繰り上げでの支払いなどのための資金が必要になる。

 

 しかし、現在、みずほをはじめ、3メガバンクが設定している火力発電へのファイナンス条件では、既存の火力事業への新規融資を禁じる規定が多い。このため、同社では7月にも規定を改定し、脱炭素への移行のための火力発電への新規融資は認める方針に切り替える考えという。

 

 発電事業者は、火力発電事業からの「トランジション」のための借入資金を得られるので、既存の資金提供者や出資者に対して、予定より早く資金を返済して発電所の早期閉鎖および事業転換をし易くなる。みずほでは、融資に際して、火力発電事業を再エネ事業や低炭素プロジェクトに転換することを契約の条件にするとしている。

 

 融資に対する返済資金は、閉鎖対象の石炭火力を閉鎖までの間、継続する収入などを想定しているという。閉鎖に必要な資金は火力発電の規模や前倒しの期間によって異なるが、インドネシアの石炭火力発電所の運転期間を10〜15年短縮する計画では最大3億㌦(約460億円)の資金が必要との見通しも出ているとしている。

 

 石炭火力事業については、国連はOECD加盟の先進国は30年までに、その他の国は40年までに段階的に廃止するよう求めている。しかし、調査機関によれば、同期間中に閉鎖を予定する石炭火力は先進国で70%(容量ベース)、非加盟の新興国などは6%にとどまる。石炭火力依存度が高く、発電所の操業期間が比較的短いアジア域内の場合、早期閉鎖を加速するためには、閉鎖資金の支援に加え、事業転換へのファイナンスも必要になる。

 

 最大の課題はこれらの移行支援の融資の返済資金になるが、早期に再エネ事業等に展開できれば、そこからの資金を返済に回せる。またシンガポール中央銀行等が英銀などと連携し、インドネシアとフィリピンで実践しているプロジェクトでは、早期閉鎖による残存期間の潜在排出量をクレジット化して投資家に売却し、返済・転換資金をねん出する事業の実践化を試みている。https://rief-jp.org/ct6/143292?ctid=

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB259GI0V20C24A4000000/?type=my#AAAUAgAAMA

https://www.mizuho-fg.co.jp/csr/mizuhocsr/management/focus.html#tha10

https://assets.bbhub.io/company/sites/63/2024/04/GFANZ_Coal_MPO_Consult_Report_JP.pdf